アラバスタ(016)

アラバスタに上陸した瞬間にルフィが走って行ってしまった。フミはルフィに置いて行かれて寂しそうだったが、ルフィはフミを思っての行動だった。暑いのが苦手なフミに無理をさせないために。

「どうしよう"ナノハナ"の町は広いからルフィさんを探すとなると大変よ」

「心配ねェよビビちゃん。町の騒がしい所を探せばいい。いるはずだ。」

「ははは!そりゃいえてる」

「それより、あいつにはもっと自分が賞金首だってことを自覚してほしいのよね。こういう大きな国では特に。」

「放っとけどうにでもなる。とにかくおれ達もメシを食おう。考えるのは全部その後だ。」

アラバスタの地は白いワンピース1枚だけでも暑く、フミの顔は赤かった。心配してずっと隣にチョッパーがいるが、チョッパーの方が毛が多いため暑そうだった。
ナノハナに足を踏み入れたルフィ以外の一味。ナミ、ビビ、フミは買い物にでかけて男たちは食料や海賊とばれない為の庶民の服装を買いにでかけた。

「あ、ここの香水すごく好き」

「ナノハナは香水で有名な町なの」

「いい香り…。」

「フミも買う?」

ナミは自分のお気に入りの香りを見つけてレジに持って行き、値引きの交渉中だった。

「私は……」

「ルフィさん喜んでくれるかもしれないわ。」

「そうかな?喜んでくれる?」

「ええ、きっと。」

ビビの言葉にフミは頷いて香水を探し始めた。"ショートケーキみたいな香り"というキャッチコピーの香水をみつけてフミの目の色が変わる。フミの好きなお菓子はショートケーキだった。

「甘くていい香りね!」

「これにしようかな。」

好きな香りに包まれて過ごすなんて幸せに決まってる。フミはナミに香水を手渡して嬉しそうに笑った。
見事値引きに成功して香水を手に入れたナミは上機嫌。フミは早速少しだけ香水を付けてみた。

「美味しそうな匂いね〜」

「ほんと、いい香り」

「ほんとう?くまさんにも付けてみよう。」

フミはくまのぬいぐるみにも付けてみる。それだけで幸せになって、暑さなんて忘れていた。
集合場所であるナノハナの外れに到着すれば、ゾロ、サンジ、チョッパー、ウソップの服装が代わりアラバスタに馴染んでいた。

「はい!これが3人の衣装です、隠しておくから着替えてきて!」

着替える前からサンジの目はハート型になっていた。衣装を受け取った3人は木の陰で着替える。

「ナミちゃん、これ着なきゃダメ?」

「アラバスタに馴染むためよ。」

「庶民というより踊り子の衣装ね。」

普段からあまり露出をしないフミは二人よりセクシーではなく可愛気のある踊り子の衣装だった。そんな三人の姿にサンジはメロメロ。そんなサンジに呆れた声を漏らしたゾロと喧嘩が始まるのはいつも通りだ。

「とにかくこれでアラバスタの砂漠を越えるための物資は揃ったわけだ。」

「ビビこれからどこへ向かうって?」

「ええ、まず何よりも先に"反乱軍"を止めたいの。またいつ暴動を起こして無駄な血が流れるかわからない。そのためにリーダーのいる"反乱軍"の本拠地『ユバ』というオアシスを目指すわ。」
「待て!隠れろ!」

突然ゾロが声を上げた。目線の先を見ると海兵達が誰かを追いかけているようだった。騒ぎ声は激しくなり、その誰かが近づいてくる。

「ルフィ、」

フミの声に全員が思った、お前かーっ!と。ルフィは一味の存在に気づいて声を上げながら走ってくる。その後ろを海兵達が追いかけてきていた。

「バカ!てめェ一人でマいて来い!」

「お!みんないるな!」

海兵達に追われているというのにルフィは満面の笑みを浮かべていた。その時、ルフィの後ろから迫り来るのはグランドラインに入る前に出会った彼だった。

「逃すか!"ホワイト・ブロウ"!」

煙がモクモクと立ち込め、ルフィを追いかける。ルフィを追い詰めた事があるスモーカーだった。煙がルフィを覆いそうになった時、誰かがその煙を止めた。

「やめときな、お前は煙だろうがおれは火だ。おれとお前の能力じゃ勝負はつかねェよ。」

「誰なの…あれ!」

「「エース!?」」

ルフィとフミが同時に声を出す。エースに会うのは何年振りだろうか。ニッと笑ったエースは何も変わらない。

「変わらねェな。ルフィ、フミ」

エースの笑顔にフミは抱きついて泣きたかったが、海兵達がいるため近づくこともできない。

「とにかくコレじゃ話もできねェ。後で追うからお前ら逃げろ。こいつらはおれが止めといてやる。行けっ!」

「行くぞっ!」

「え!?何!?あいつ誰なの!?」

麦わらの一味はエースに背を向けて走り出す。エースが何者かわからないナミはずっと誰なのか聞いているがルフィもフミも答える余裕はなかった。先に旅立ったエースとこんなにも早く会えるなんて思っていなかったからだ。
一味は荷物を持ってメリー号へと急いだ。

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