ドラム王国(012)

チョッパーは1人でドクトリーヌに別れの挨拶に行った。戻ってくるまでは各自で雪だるまを作ったりしている。

「フミっ!」

「なぁに?」

雪のうさぎを作っていたフミは名前を呼ばれて返事はしたが、目線は雪のうさぎに向いていた。声の主はルフィである。

「なんでチョッパーと一緒に逃げたんだ?」

ルフィはフミの隣にしゃがみ込み、顔を覗き込む。やっと目線が絡み合い、フミは悩んだような顔をする。

「うーん、追いかけられたから?」

特に理由はないということだ。その答えにルフィはムッとした顔をする。

「なんか逃げられてすげェショックだった。」

「うっ…ごめんね。」

雪のうさぎを雪の上に置いて、フミはきちんと顔を合わせて謝った。そこまで怒ってるわけじゃない、ただ少しだけチョッパーに嫉妬しただけだったりする。

「ルフィ怪我は大丈夫?」

「おう、別に何ともねェよ」

「もう、あんな無茶しないでね。」

無茶しないでね、とは何度も言ってきたがルフィが守るわけもなくフミはいつも心配ばかりしていた。これからも心配ばかりするんだろう。

「悪い。あいつにムカついたから。」

「ルフィが無事ならいいけど…」

フミはギュッとルフィに抱きついた。自分より小さなフミが弱い力で、でも必死に抱きしめているのをみてルフィはやられた。

「フミ、顔上げろ」

「やだ、キスするでしょ」

フミはルフィの胸に顔を埋めたまま首を横に降る。コートからはもうナミの匂いではなく、焦げ臭い匂いとルフィのいい香りが混ざりあっていた。

「キス嫌なのか!?」

「だって今、私変な顔してるもん。」

「変な顔?」

「ルフィが大好きですって顔だもん。」

ドクンとルフィの胸は高鳴った。こんなに可愛い生き物がこの世にいるなんて思わなかった。ルフィはフミの頬を優しく両手で覆うと、ゆっくり自分の方へと向かせた。すると顔が真っ赤で、恥ずかしいのか涙目になるフミがいてルフィはもうやられっぱなしだ。

「わあああ。」

真っ赤な顔でルフィはその場に寝転んだ。冷たい雪が熱い体を冷やしてくれる。

「あれ、キスしてくれないの?」

「ちょっと待て、今はやばい」

「もう。私からする!」

フミは寝転ぶルフィの頬に触れるだけのキスをする。それだけでルフィの顔は真っ赤っ赤だった。

「ハァ、おれもうダメだ。」

「嫌だった?」

「フミが好きすぎて苦しい。」

フミのする一つ一つの行動が愛おしくて、心臓が何個あっても足りなかった。ルフィの言葉でフミはまた顔を赤くする。お互い赤い顔を向け合い、照れたように笑いながら唇と唇を何度も重ねた。この山の雪が全部溶けてしまいそうなほど熱い二人だった。

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