>>闇からの返答

赤司と幼馴染だということは、もちろん蜜柑もそこそこのお金持ちである。赤司家の隣にある蜜柑の家は赤司家より一回りくらい小さな家だったが十分広い。馬小屋では馬が3頭いる。
そんな彼女は今日も自室で空を見上げでいた。

「ああ、眩しい。なぜこんなにも太陽は私ばかり照らすのだろう。」
「おはようございます、蜜柑様。朝食は和食と洋食どちらにいたしましょう。」
「ごきげんよう。昨日も激しい戦いをしたからね、やはり和食かな。それと私のことはアビスと呼んでと何度も……」
「失礼します、蜜柑様。」
「とうとうメイドまで光の組織にやられたか………」

中二病全開の主人を軽くかわしたメイドは最初こそ戸惑ったものの、慣れるのもはやかった。
今日は休日で部活もoffということもあって、朝はのんびりとしていた。先週購入した魔法のステッキ(1200円)を持ち、闇のワンピース(ただの黒のワンピース)を着る。

「お食事の用意ができました。」
「ねぇ、包帯巻いてくれない?」
「け、怪我なされたのですか!?」
「昨日の夜、ヤツらと戦った時にね魔法をかけられたの」
「それはそれは、お気をつけ下さい。」

バタンッと扉が閉まる音がする。蜜柑は仕方なく、自分で右手首に包帯を巻いた。

「おはよう、蜜柑。」
「なっ、なぜアカーシがここに!」
「私が誘ったのよ。」

蜜柑の母がふわりと笑った。そんな笑みを見せられれば何も言えない。父が海外出張のため、母は寂しいのだった。

「それ」
「え?」
「怪我したのか」
「蜜柑ちゃん怪我したの?すぐに診てもらわなきゃ!」
「ああ、これは昨日の夜光の組織に…………」
「ハァァ。」
「あらあらまた光の組織なの?ブラッドさんと一緒に?」

赤司はため息をつくが、母は素直だ。本当に光の組織があると思っている。

「ブラッドは昨日いなかった。だから苦戦したの。」

蜜柑はそう言いながら席に座り、目の前の料理にヨダレが垂れそうになった。

「では、いただきましょうか!また戦いの話を聞かせて?」
「いただきます。」
「いただきます。話せばお母さんが狙われてしまう……だから…私には話せない。」

母とのやりとりは日課だ。騒がしい食卓だが、赤司は内心嬉しかった。いつも父と2人、静かな食事をとっているから。

「今度ブラッドさんを家に呼んではどうかしら?」
「その時は俺も来てもいいですか?」
「ええ、征十郎君もどうぞ」
「アカーシまで!?」

闇田と蜜柑を2人っきりにさせるわけにはいかないと、赤司の小さな嫉妬心である。

「そういえば、アカーシは今日暇?」
「別に用はないが」
「じゃあついてきてほしい所があるの」

いつ以来か、蜜柑と2人での外出に誰にもわからないほど薄っすらと口角を上げる赤司。

「どこに行くんだ」
「武器屋」

武器屋つまり、おもちゃ屋さんだ。赤司は呆れながらも蜜柑との外出には変わりない為、フォークを投げそうになったのを必死に抑えたのだった。

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