>>赤から闇に染まる

「あれがリョータ……」

体育館の扉の影からバスケを楽しそうにする黄瀬を見つめる二人。

「そう……光の組織の人間よ……私達と同じ様にうまく人間世界に溶け込んでる…」
「フッ……笑っていられるのも今のうちだ……」
「テツヤーンは……」
「あいつは影が薄いから見つけにくいな」

同じクラスでわりと仲の良い中二病二人と黒子。

「今すぐテツヤーンを闇に戻さなければ………」
「だが、あまりにも人が多すぎる……」

ボールや人が行き交い、部外者である闇田は出ようにも出られない。

「もうすぐ休憩のはず…」
「それは都合がいい。負わされた傷が疼いてるぜ。」

左手の包帯を撫でる闇田を横目でみる蜜柑はかたきを取ろうと燃えていた。魔法の箒(普通の箒)を構える。

「アカーシ・セイジュー・ローには見つからないようにして。」
「誰だそいつは……」
「炎の使い手……そして……あいつは……」

俺がどうした?という声が二人の背後から聞こえて、ゆっくりと振り返る。またなぜかカッターを構えている赤司に初めて会った闇田も震えが止まらなかった。

「なっ……なんてオーラ!!」

闇田が小声で囁いた言葉に赤司は悟った。蜜柑をたぶらかした闇田とはこいつだ、と。逃げよう、闇田が蜜柑の手を握った瞬間に、とうとう赤司が動いた。

「その手を離せ。汚い手で蜜柑に触れるな。」

赤司は闇田の首元のシャツを掴み、睨み付ける。闇田はあまりの恐怖に腰を抜かしそうになった。

「ちょっと!!アカーシ!!」
「その呼び方をやめないと、こいつを殺すよ?」
「せ、征ちゃん!!」

本気で殺しかねない。蜜柑は赤司の手を掴み、急いでやめさせる。赤司から離れた闇田はその場に座り込んでしまった。足が震えて立てないのだ。

「桃井も言っていた……初めまして君が闇田だね。」
「クッ……」

闇田は震える足を必死に止めようとする。蜜柑はまた赤司が闇田になにかするのではないかとヒヤヒヤしていた。

「バスケ部でもない君がここで何をしている?」
「光の組織が…」
「蜜柑は黙って。」

闇田の漆黒の瞳から目線を逸らさずに赤司は冷たく蜜柑に言った。こんなにも冷たい赤司は初めてで、なぜこんなにも怒っているのか蜜柑にはわからなかった。

「わ、我の名はブラッド!闇田ではない!」
「………話にならない……」
「赤司、それに蜜柑も何やってんだ?」

修羅場だというのに、タイミング悪く青峰がやってきた。闇田を見て、誰だこいつという顔をする。

「ダイッキー!私の相方がピンチなんだ!」
「相方ァ?」
「こいつは蜜柑をたぶらかした闇田だよ。青峰も名前を聞いた事くらいあるだろう。」
「ああ、こいつが闇田か……」

青峰が赤司に睨まれている闇田を舐めるようにみる。闇田はこの状況をどう乗り越えればいいか悩んでいた。するとその時、蜜柑が赤司を後ろから抱きしめた。急な行動にその場にいる全員が固まる。

「………蜜柑?」

満更でもない赤司だが、急にどうしたのかと蜜柑に聞いた。

「ブラッド!逃げて!ここは危険だわ!!」
「アビス………俺はお前を見捨てるなんて事は……」
「いいから、はやく!!」
「………クッ……生きて帰って来いよ……」

ダァーッと逃げていく闇田に蜜柑は微笑んだ。必ず生き延びて……と。その光景を青峰は爆笑しながら見ていた。赤司はといえば、蜜柑の手をやんわりと引き剥がして向き直る。

「いい度胸だね、蜜柑。」
「せ、征ちゃん……」
「今更幼馴染面しても無駄だよ。俺は炎の使い手なんだろう?」
「ダイッキー助けて!!」
「わりぃ……操られて動けねぇんだ……」

青峰は面白がっているのと、赤司に逆らうと危ないということでここは見守る事にした。蜜柑の顔色がみるみるうちに青くなっていく。それから何が起こったのかは、顔を引き攣らせる青峰と泡を吹いて倒れた蜜柑から想像してもらいたい。



―――――――

中二病二人のキセキの呼び方

青峰『ダイッキー』
黄瀬『リョータ』
黒子『テツヤーン』
緑間『シンタロー』
紫原『アツシン』
桃井『サツキン』
赤司『アカーシ・セイジュー・ロー』

昔のヒロインのキセキの呼び方(推定)

青峰『大輝君』
黄瀬『涼太君』
黒子『テツヤ君』
緑間『真太郎君』
紫原『敦君』
桃井『さつきちゃん』
赤司『征ちゃん』

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