>>もう直ぐ、暗闇が全体を覆う

「征ちゃん!みてみて!!

武器屋にて、無邪気に笑う蜜柑を見つめて不覚にも可愛いな、なんて思っていた赤司。
蜜柑が見ているものは背中に取り付ける白い天使のような羽だ。こんなもの学校につけていったら笑いものになる事は想像できるのに蜜柑は中二病だ、気にしない。

「征ちゃ………アカーシ!これなんかどう?」
「アカーシと呼ぶな。それは良い。」

天使のような羽をつける蜜柑は可愛い、けれど中二病だ。

「アカーシには何が似合うか……」
「俺は何もしない」
「そんなこと許さないわよ!!」
「キャラがおかしいぞ」
「私にはドSキャラが似合うってブラッドが……」
「もう二度と闇田の言う事に耳を貸すな」
「どうして?」

昔の蜜柑に戻ってほしい、そう赤司が言えば蜜柑の目の色が変わった。

「昔…?私は今が凄く楽しいの。今の私が嫌なら……もう関わらないで」

今の蜜柑を否定する赤司が許せなかった。赤司も少し言い過ぎたかと思ったが後悔はしていない。

「何が、楽しい。あいつといてそんなに楽しいか。」
「こんな事言うアカーシといるよりはずっと楽しいよ。」

赤司に否定されたことがひどく悲しかった蜜柑は流れそうな涙をぐっと堪える。

「そうか……幼い頃から過ごしてきた日々も楽しくなかったようだね。」
「ちがっ…それは……」
「蜜柑にはついていけない」

蜜柑が好きだったはずで、今も確かに好きなのに赤司は離れる事を決めた。これから一緒にいても蜜柑は変わらないとわかったからだ。

「マネージャーも辞めたいなら辞めていい」
「せ、征ちゃんが入れたくせに……」
「ああ、間違いだったみたいだ」

蜜柑をマネージャーに入れたのは間違いなんかじゃないのは赤司もわかっていた。中二病ではあるが、優秀で一軍の人達とも仲が良い。

蜜柑は目を大きく開かせて驚いている。赤司と離れたいわけじゃないのに、素直な事は言えなかった。

「闇の炎に抱かれて消えろー!」

この前みたアニメで影響された言葉をそのまま赤司に言い放った蜜柑は武器屋を飛び出した。

「俺は蜜柑が好きだよ。」

そうポツリと呟いた赤司はもう言わないと決めた。こんなにも蜜柑を傷つけておいて、今更好きになってもらう事なんて出来ないからだ。

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