07
こんなに緊張するのは何年ぶりだろうか。手汗がすごくてTシャツで汗を拭う。何年ぶりに彼と会うだろうか。私が初めて好きになった人。そしてたぶん、一生この人しか私は愛せないそんな人。
彼の船へと瞬間移動すればイケメンのコックさんが目の前にいて彼は目を見開いて驚いている。それもそうだ急に人が目の前に現れるのだから。
「久しぶりだね、◯◯ちゃん。」
コックさんことサンジに抱かれたこともある。私から別れを切り出したものだから少し気まずい。彼を追ってこの船に出入りしている時、優しい彼に私はつけ込んでしまった。
でもサンジはニコリと笑ってくれて彼の居場所を教えてくれた。男部屋でまだ寝ているらしい。だってまだ朝の5時なんだから。
「失礼しまーす。」
一応ノックもして部屋の中に入ると数人の男たちがいびきを立てながら寝ていた。男部屋独特の匂いは私が好きな匂いだ。
ゆっくりと彼のもとへ歩いていく途中で、剣士ゾロに腕を掴めれてバランスを崩す。
「どの面下げて来やがった。」
「あの時はごめんなさい。」
ゾロも彼が振り向いてくれない寂しさから沢山の男の人と遊んだうちの一人。心から私が好きだと伝わってきていたからこそ私は別れを切り出した。ゾロも最初はあいつを見てていいからと言ってくれたのにね。
私は絶対にゾロを好きになれない。それに、ゾロは彼の大切な仲間だ。
「会いにきた。」
「おれがどんな想いをしたのかお前はわかってんのか。あいつも同じだ。お前と遊んできた他の男もお前に本気で惚れてただろ。」
ぐっと私の腕を掴んでいる手に力が入る。痛いけれど私は謝るしかできない。最低な女だってことはわかってるし散々弄んできたこともわかってるけどやっぱり私は彼しか愛せない。
「んー…………ゾロ……?」
声が大きかったのだろう、彼が目覚めてしまった。ゾロは眉の皺をより深くさせて私を睨んだ。
私は悪くないと思うのだけれど。ゾロだってルフィに内緒で私を抱いていたじゃないか。
「あれ……………◯◯!」
久しぶりに彼の口から私の名前が聞こえた。それだけで暴れ出す私の心臓。今までどんな男に名前を呼ばれても反応さえしなかった私の心臓。
「ルフィ。」
そして私も彼の名前を呼んだ。この数年間一度も口にしなかった彼の名前。忘れることができなかったルフィの元へ私は帰ってきた。
「久しぶりだなァ。」
「そうだね。」
「おかえり。」
「ただいま。」
おかえり、と言ってくれるんだね。
今すぐ抱きついてキスしたい。それほど大好きなんだよね。ルフィは嬉しそうに笑う。
(ルフィを前にするお前の姿は)
(抱きしめたくなるほど小さい)
前 / 次