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◯◯はすぐに見つかった。

すぐ近くの島の帽子屋で働いていた。ログポースが指した島がちょうど◯◯のいる島だった。

おれは何度か訪れ、声をかけようと思ったがどうしても店に入れなかった。◯◯はおれを恨んでないのか。意地を張った演技をして、◯◯の心を弄んでいたんじゃないか。

「麦わら帽子……、あなたは店に入れられないね。」

意を決して入ろうとした日、ばあちゃんに止められた。

「なんでだよ、ばあちゃん!」

「◯◯は今、心の整理をしているところなのさ。」

「心の整理?」

「あんたを想って、帽子を作ってる。今は会わない方がいい。」

おれを想って帽子を?◯◯が?
おれのことまだ好きでいてくれているのだろうか。◯◯に対しては本当に不安になる。またおれの前から消える気がして。

「まぁ、その帽子をどうするかは、あの子次第だけどね。」

小さい声でそう呟いた言葉はおれの耳には届いていなかった。

ログが溜まるのに数週間かかるらしい、だから◯◯の帽子が出来るまで待つことができる。◯◯は店に篭りっきりらしいけど、店の前は必ず通ることにした。

「今日も来たのかい?」

「◯◯は?」

「順調だよ。今日も見ていくといい。」

ばあちゃんが水をあげている花壇に座って、部屋の中にいる◯◯を見る。透明な窓だから見えるし、花壇の花で◯◯からはおれが見えないはず。

「昨日は泣いてたけど、今日は笑ってるな。」

「楽しいことでも思い出してるんじゃないかい?」

「おれのことかな?そうだと嬉しい。」

「きっとそうさ。」

◯◯好きだ、大好きだ。小さい頃からずっと。出会ったときからずーっと。

「もっとはやく気付けばよかったなァ。◯◯は素直になれない可愛いヤツだって。」

「大好きなんだね、◯◯のことが。」

「おう!もう隠さない!◯◯を愛してる!」

それから、たぶん◯◯もおれが好きだ。
おれが演技なんてしているから、◯◯は他の男と遊ぶようになったんだろう。遊んだことは許せねェし、嫉妬で狂いそうだし、おれで上書きしたい、けどおれも半分悪い。

「じゃあまた来るな!ばあちゃん!」

ばあちゃんは優しい笑顔をしておれに手を振ってくれた。サニー号へと帰る足取りは今日が一番軽かった気がする。


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