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とある島のとある帽子屋さん。そこで働くことになった。

宛てもなく、瞬間移動した先がこの島だった。どの島なんて分からない。私は、一度会ったことのある人の元へしか移動できないはずなのに、ここはどこか知らない。

死のうと、した。何も食べず、海辺にじっと座って何もする気が起きず、ただ水平線を眺めていた。何日か経った時に、帽子屋のおばあさんに声をかけられた。
死なないで、手伝ってほしい。と私に目的を与えてくれたのだ。私は数日ぶりの水を貰い、おばあさんのために働くことに決めた。

けれどミスばかりしていた。それでも許してくれる店主のお婆さんはとても優しい人だった。

ボーッと店番をしていると、お婆さんが小さく笑った。その手には針と糸、もうすぐ完成するテンガロンハットがあった。エース元気にしてるかな、とその帽子をみて思う。
なぜ、笑ったのだろう。今ここには客もいないし私が店の外を眺めているだけ。

「どうして笑ってるの?」

「ずっと麦わら帽子を見つめているから何かあるのかと思ってね。」

「えっ。」

無意識だった。店番の最中でも私はルフィのことを考えていたんだ。そんな自分が悔しくて、まだ私の心を惑わせる彼が憎い。

「◯◯、麦わら帽子作ってみるかい?」

「え!?私が?」

「この数週間、私の作っている所を見てきただろう。」

帽子を作って、その帽子を私は燃やしてやろう。帽子が灰になっていくように、私の気持ちも消えてしまえばいい。おばあさんは悲しむだろうか、分からないけど作ってみようかと思う。

「作る。教えて?」

「ふふっ、こっちに来なさい。」

これくらいしないと諦められないくらい、大好きだから。もっと素直になってればこんなことにはならなかったかもしれないのに。本当に馬鹿だよ、私。男なんて嫌いになりそうだ。

「◯◯の想いを全て込めればいいんだよ」

帽子を縫い始めるとなぜか、涙が止まらなくて、どんどん湿っていった。それでも私はやめなかった。ルフィに伝えたかった言葉や、話したかったこと、全部をこの帽子に詰めよう。


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