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あの時に素直にルフィに伝えていればこんなことにはならなかったかもしれない。シャンクスではなくて、ルフィが好きで、今のままの性格でいいんだよって。全部自分ののせいなのに。
なんだか笑えてきた。色んな感情が沸いては消え、そして笑いになる。
「ふふっ!お腹痛い!ふふふっ!」
「◯◯!?」
「まさか聞いてたのか?」
もう壊れてしまった、心も頭も。絶望、の一言で表しきれないほどの思いだ。
「大人で、冷たい男?は?そんなの好きなわけない。私が好きなのは真っ直ぐで子供で暖かい人。ルフィが好きだった。シャンクスも、みんなもただの遊びでどうでもよかった!こんなに性格の悪い女誰も本気で好きになんてならない!みんな、みんな私に本気にならなかった!!」
息を吸うのも忘れて一人で抱え込んでいたものを吐き出してしまった。こんな性格の悪い私ルフィに見られたくなかったのに。
本気、の恋なんて私が一番知らない。誰1人、私を本気で愛していなかったはずだ。都合がよかっただけ。自分が利用してたくせに、みんなが本気になってくれないから焦ってたのは私。
「なに言ってるの?◯◯」
「ルフィ、今まで騙してきてごめんなさい。ナミが好きでもいいよ。私は、愛してたよ」
「◯◯……?」
もうやめた。何もかも疲れてしまった。死んでもいい、と思えるくらい。
「私の夢は、幸せになることなのかも」
「◯◯!行くな!」
「さようなら。」
ルフィの腕が伸びてきた頃には私は消えていた。この能力は本当に臆病な私のために作られたものなんじゃないかな。逃げるための、能力。誰も私を捕まえられない。
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