09
「ナミちゃん、これ。」
「わぁ!これ!いいの?」
「当分乗せてもらってもいいかな?」
「私は別にいいけど…………その、大丈夫なの?辛くない?」
「こうなることはわかってた。でも諦めたくない。っていうのは見栄で……実は帰るところが無いだけ。」
乗船料として誰かからもらってきた宝石をナミちゃんに渡した。彼女は喜んで乗せてくれて心配までしてくれた。全ての関係を切ってしまったから行くところがない。
そして、ルフィはそんな私に降りろとも言わないし乗っていろとも言わない。
「目が赤いわよ。お風呂どうぞ。」
「ありがとう。遠慮なくいただきます。」
誰よりも先にお風呂に入ってしまうのは罪悪感があるけど、目が真っ赤なのをみれば仕方が無い。
また泣けてきた。ルフィはどうして私を認めてくれないの。昔はエースとサボと私とルフィの4人で仲良く遊んでいつか海に出ようなんて話していたのに。
「誰が入ってるんだー!?」
「私!◯◯!」
「◯◯か!」
この声は恐らくチョッパーだろう。チョッパーは入っていいか?と聞きながらもう扉を開けていた。意外と強引なんだろうか。
「さっき春島の横通ったから花粉が気持ち悪いんだ。」
「洗い流してあげるね。」
「ありがとう。」
シャワーから水を出して、チョッパーに優しくかけてあげる。それにしても毛がフワフワだ。すごく手触りがいい。
「◯◯は仲間になりたいのか?」
「仲間、というか。特別になりたい。」
「特別?」
「仲間とは違った愛を私に向けてほしいってことかな。」
「ルフィは毎日◯◯の話してるぞ。」
嘘だよ、そう言いながらも明らかに私は動揺していた。毎日だなんて、絶対うそ。
「◯◯、痛い!」
「あ。ごめんね!?」
無意識にチョッパーの毛を鷲掴んでいたみたいで、数本抜けてしまっている。
何を、話しているのか聞きたかったが勇気が出なかった。
(◯◯の話をするルフィは)
(いつも楽しそうなんだけどな)
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