白石くんは綺麗だ。頭の先から爪先まで、どこも隙がない。こんな美しい人が存在するのだろうか。ううん、実際私の目の前に居る彼は、美しい白石くんそのもの。

逆に私は醜い。体こそはまだ純潔を保ってはいるものの、周りからは嫌われ、変な噂まで流されて、誰ひとりとして私の味方なんて居ないのだから。心が荒んでるから、周りの人望を得られないのだ。心が荒んでるから、きっと醜く見えてしまうんだろう。

白石くんは、きっと心も美しい。だから、みんな慕い、彼を好きになる。


「し、白石くん…?」


白石くんは綺麗。凄く綺麗。かっこいいし、私は白石くんの顔が好き。

でも今の状況って…

机に座ってる私の顔を間近で見つめてくる白石くん。この距離はまずい。近すぎる。もう少し近付いたらキスしてしまいそうな。


「し、白石くん、近いよ…」

「…嫌なん?」


嫌なわけない。憧れの白石くんとキス出来るなんて。むしろ嬉しい。でも…キスって、付き合って、手繋いだりして、抱き合ってって…手順踏むものじゃないの?


「嫌じゃないけど…でも…、こういうのって付き合ってる同士がする事なんじゃないの?」

「自分、純情ぶってるみたいやけど本当は俺にキスしてもらえて嬉しいんやろ?」

「でも…こんな形じゃ…」


そもそも白石くんは何で私なんかにこんな事するんだろう。クラスも違うし、話した事すらあまりない。なのに、何で…


「もうずっと前からお前が俺の事見てたの知っとるよ。俺と気持ちいい事しようや、苗字さん。」


どくん。

白石くんのその言葉を聞いて、突然恐怖に襲われた。


つまり、白石くんとセックスするって事?嫌だ。私経験なんてないのに。怖いよ、白石くん。


「大人しくしてれば優しくしたるよ」


ああ、そんな綺麗な顔して、そんな事言わないで。私、怖いながらに流されてしまうから。





不意に、白石くんの唇が、私の唇に触れた。

それを拒む事なんて勿論出来る訳がなく、白石くんのキスがだんだん激しくなっていっても、ただただ必死に受け入れた。

口の中に入ってくる舌の感触も最初は気持ち悪かったけど、あとから気持ち良さに変わって、私も舌を一緒に絡めた。


「ん、ふぅっ…んっ…」

「…っはぁ、キス、上手いやん」


流石遊んどる女は違うな。彼は笑いながらそう言った。 遊んでる?私が?このキスがファーストキスだっていうのに?

何がなんだか分からないまま、白石くんの手が服の中に入って来る。ひやりと冷たい手が胸の辺りに触れて、思わずビクリと震えた。


「感じやすいんやなぁ…」

「ちがっ、白石くんの手が冷たくて…っ!」

「そうやって色んな男誘ってるんやろ?ホンマやらしい奴やな」

「何言って…っ」


白石くんの手がブラジャーをずらして、直接乳首に触れた。触れただけでも変な感覚に襲われたのに、摘まれて余計に身じろいでしまう。


「あっ…や、だ…、何これっ…!」

「気持ちええ?乳首コリコリしてんで」

「や、あっ…!」


制服のシャツを捲り上げて、そっと白石くんの舌が乳首に触れた。さっきとは正反対の舌の暖かさに体が跳ねた。


「ん、ぅっ…、はぁっ…」


自分でも驚くくらい甘い声や息が漏れた。白石くんは執拗に乳首を舐め回してきた。


「胸が俺の唾液でベットベトやで。めっちゃヤラシイわ…」


私の胸が白石くんの唾液で光っていた。それを見て何故か体の奥が熱くなるのを感じてしまった。この疼きは、何…?


「次はこっちやな」


スカートの中に手が入って来て、下着の上から割れ目をなぞられる。


「ひゃぁうっ…!」

「ここが苗字さんの性感帯なん?」

「や、わかんなっ…!」


器用に下着を脱がされて、直接ソコを触られる。体が電流が走ったようにビリビリして、息も声も荒くなったのが分かる。私一体どうしちゃったの…?こんなの自分の体じゃないみたい。


「あぁっ、んっ、ひぁっ」

「クリトリス感じるんか?」

「も、わかんな、いっ…!」

「正直に言うてや。ここ感じるんやろ?」

「あ、ああっ、んっ…!」


白石くんの指がどんどん激しくなる度に、自分でもよく分からない感覚に襲われ始めた。さっきの時より激しい電流の波が、押し寄せてきた。


「イくんか?イきそうなんやろ?」

「や、あんっ、ああぁっ!」


ビクビクと体が揺れて息が整わなくなって、クラクラする。

この感覚、感じた事がない。これがイくって事なの…?


「イったんやな。苗字さん次からはイく時ちゃんと教えてな。」


そう言いながらいきなり白石くんの指が中に入ってきて、中でバラバラに動かされる。


「や、あんっ、痛っ…!」

「痛いわけないやろ。ヤりすぎでマンコガバガバなってんで」

「い、あっ、ああっ」

「まぁ、ヤリマンな割にはめっちゃ締まりええけどな」


白石くんはさっきから勘違いをしている。私はヤリマンなんかじゃない。キスだって今日が初めて。男の人に触られるのも初めて、なのに…

お構いなしに指を動かされて、少し経ってからズボンのベルトを外して、一気に脱いだ。

美しい白石くんに不釣り合いのグロテスクな、それ。赤黒く勃起したペニスを私の脚の間に近づける。


「白石くん、無理だよ…、そんな大きいの、入らない…」

「何言うてるんや、こんくらいのなんて散々入れてきてるやろ?」

「私、こんな事…っ、ぁっ!」


言い終わる前に、白石くんが中に入ってきて、中がぎちぎち、と音を立てるのが分かった。痛い、痛いよ、白石くん、私初めてなんだよ。男の人とこんな事したことないんだよ。

引き裂かれるんじゃないかってくらい痛くて、でも白石くんはやめてくれない。次第に律動は激しさを増して、白石くんは夢中で腰を振っていた。


「はぁっ…、気持ちええ…っ!」

「あ、んっ、も、やめてっ…」

「無理なお願いや、苗字さん、そろそろイくでっ…」


白石くんが奥を中心に激しく突いてきて、意識が飛びそうになる。


「あ、はぁ、あっん、またっ…、イっちゃ…!」

「あ、イくっ…!」


中に熱いものが注がれて、白石くんは少し経ってから中からペニスを引き抜いた。こんな時でさえ、彼は美しかった。汗を流して呼吸を整えてる姿も、果てる瞬間の表情も。

精液が中から垂れてくる感覚に、不思議と気持ち悪さは無く、何故かひどく安心している自分がいた。


「白石くん…、何か誤解してるみたいなんだけど…」

「誤解?何の話や」

「あ、あのね、私…初めてだったの」

「…え?」


白石くんの目が大きく開かれた。驚いてるのか、口をぽかんと開けたまま。白石くんが、こんな顔するなんて。


「ヤリマンっていうか寧ろキスも初めてで…男の人に触れられた事なかったの」

「嘘…やろ?みんなお前の事ヤリマンて言うてる。男遊びしかしてないって」

「男遊びなんかしてないよ。初めてなのに血とか出なかったけど、痛かったし…」

「…ごめん」


白石くんに抱き寄せられた。夢みたい。それはさっきとは打って変わって、優しい白石くんだった。


「興味本位やった。苗字さんが俺に好意持ってたんは知ってたんや。それを利用して遊んでやろうって…せやのに…」

「いいよ、私気にしてない。むしろ白石くんが初めてで良かった。」


自分の悪い噂が流されてた事よりも、彼の悲しい顔を見る方が辛かった。


「あんな、俺照れくさくて言えんかったけど…苗字さんのこと…」


照れて真っ赤になる顔ですら、彼は綺麗で、美しかった。





20101219



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