小説 | ナノ



【時を駆ける想い】
※ヒロインは大人設定


「リンクはいつも牛乳飲んでるよね、なんで?」
「早くおっきくなりたいから!」
今日もビン詰めのロンロン牛乳を飲んでいるリンクに訪ねると、間髪入れずに答えが返ってきた。その内容が想像通りというか、子どもらしくてとても微笑ましいものだった。

「だってさ、兄ちゃん、マルスとかロイよりも背低いんだもん」
「あぁ、なるほど」
リンクが言う「兄ちゃん」は、大人リンクのこと。まぁ確かに、七年後の自分の姿を確認できるなんてそうそうないもんね。

「兄ちゃんよりもカッコいい男になってやるんだ!そうしないとなまえをとられちゃう!」
「なにその心配。大丈夫だよそんなの」
「そしたらなまえ僕と付き合ってね!」
「ふふ、はいはい」
「もぉー、僕本気なのにー!」
なんか、タイムパラドックスみたいな話になってきてるなぁ。このリンクが今すごい努力すると、七年後の姿はあのリンクとは違うのかしら?

「でもリンクが大人になる頃には私はもうおばさんだよ?」
「そんなことない、なまえはいくつになってもきっとキレイだよ!」
…リンクって、小さい時から天然のタラシだったのね…。その片鱗を見た気分だわ。まぁ、誉めてもらえるのはもちろん嬉しいんだけどね。

「牛乳おかわり!」
「ご飯もちゃんと食べないと、おっきくなれないぞー」
「わかってるよ!」
そう言いつつまた牛乳を飲むリンク。ご飯をかきこむスピードが早くて、喉に詰まらせやしないかと少し心配したけど、何とか無事に完食したようだ。

「ごちそーさま!みんなと遊んでくる!」
「あまり屋敷から離れちゃ駄目よ。ネスたちにも言っておいてね」
「うん!あ、そうだ、なまえ!」
「ん?」
唐突に呼び止められて振り向いたら、こちらを真っ直ぐに見上げる彼と視線がぶつかった。その綺麗な蒼い瞳から、目が逸らせなくなる。
そんな私にニコッと無邪気に笑いかけたリンクから、とどめの言葉。

「僕必ずなまえを振り向かせてみせるから!覚悟しといてね!」
「――…っ!」
「じゃ、いってきまーす!」
パタパタと走り去るリンクの背中。それはまだ小さい子どものものだったけれど、とても勇ましくて格好良かった。

「もう…参っちゃう…」
顔が熱い。誤魔化すように呟いて、食事の後片付けにかかる。
いくつも年が離れているけど、いろんな所が彼そのもので、それを発見するたびに胸が高鳴る私の気持ちにもなってほしい。本当、良い意味で心臓に悪い子だわ。

「ちゃんと言ってあげればよかったかな…」

心配しなくても、私はちゃんと七年後の貴方に惹かれているのよ、ってね。




13.08.12
あれ、これ遠巻きに失恋じゃね?←


6 / 113
/

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -