小説 | ナノ



【お狐様の憂鬱】
※ヒロインはファイターで恋人設定


キッチンの隣にある大部屋でのんびりテレビを見ていたら、ドアが開いて狐さんが入ってきました。

「あ、フォックスだ」
「あぁ…なまえか…」
「?なんか元気ないね」
普段の彼からはかけ離れたテンション。耳も尻尾も力なく垂れてて、元気ないですオーラが半端じゃない。

「聞いてくれるか…?」
「うん。私でよかったら」
「さっき健康診断が終わったんだけどさ、俺……」
こ、この流れは…。まさか、不治の病が見つかったとか?!余命半年みたいな?!そんな感動巨編みたいな展開になr…


「俺…この間より体重増えてた……」


は?今なんつったこの狐?
体重…だと…?
もう、一瞬でいろいろ考えたせいで脱力感がありえないことになってるわ…。

「何そんな女子みたいなこと言ってんのさ…」
「いや、男でも結構ショックなんだって!」
「別にいいじゃん、ちょっとくらい太ったって」
「太ったって言うなぁあぁぁあ!」
この世の終わりみたいな声出すなよたかが体重ごときで!と怒鳴りたい気持ちもあったけど、なんかあまりにも不憫だからそれはぐっとこらえた。
私もここにきて大人になったもんだなぁ。

「俺より背が高いファルコとかウルフとかとあんまり変わらないって…どういうことなんだよ…」
「ファルコはお肉ほとんど食べないし、ウルフは不健康そうだから細いんじゃないの?」
「まぁ確かに、ウルフはドクターに禁煙しろって怒られてたけどさ…」
というか、そもそも動物としての種類が違うのに体重比べるってこと自体がナンセンスなんじゃ…。まぁいいか。
それにしても、このJKみたいな思考回路の狐をどうすればいいんだろう。ソファーに三角座りして落ち込み出した。

「俺…ダイエットしようかな…」
「まぁ、別に私は止めないよ」
「ダイエットって、どうやったらいいんだろ?」
「うーん…。私やったことないからわからないんだけど…やっぱり運動して汗かいて、って感じなんじゃない?」
残念なことに私は生まれてこのかた一度も体重を気にしたことがないから、いいアドバイスができないんだよねぇ。でもやっぱり食事制限と運動なんだろうな。

「汗をかく運動かぁ……」
「別に乱闘すればよさそうなもんだけど」
「――…あ」
天井を見つめて何か考えていたらしいフォックスが、急に何か思い浮かんだような表情になる。そして、立ち上がって私に近づいてきて…

ガシッ

「なまえ、俺の部屋にきて」
「な、なんで…?」
「そりゃあ、二人で汗かく運動するために決まっt「お断りしますっっ!!!」
ふざけんなエロ狐ぇえぇええぇえ!!!
掴まれた腕を振りほどいてダッシュ!廊下に飛び出したものの、後ろから凄い早さでフォックスが追いかけてくる。こえーよ!!

「逃げんなよ!俺のダイエットに協力しろー!」
「絶対ダイエット二の次だろーが!」
少しずつ縮まる距離に絶望を覚えていたら、目の前に役に立ちそうなヤツ発見!

「ウルフ助けてぇえぇええぇえ!!」
「あ?」
ドクターの部屋から出てきたウルフの後ろに隠れる。私を見る不審な目は、その直後に追ってきたフォックスに向けられた。

「…何してんだおめえら?」
「ウルフ!これは俺となまえの問題だ!邪魔するな!」
「いやいやいや私関係ないよフォックス単独問題でしょ!」
「…うるせぇな」
自分を挟んで言い合いをする私たちに、ウルフが顔をしかめる。でも今の私には頼れる人が残念ながらこの狼くらいしかいないんだよ!

「俺様は眠みぃんだよ。早くどっか行け」
「だめだよ!私の貞節の危機なんだから!」
「何言ってんだ。もう汚れきってんじゃねぇか、おら」
「っ!!!」
ドンと背中を押されて、再び目の前にはフォックス。
おっさんテメェエェエエェ!!!

「さーて、行くか、なまえ♪」
「いやぁああぁぁあ!!!」
腕を掴まれ、ズルズルと引きずられる私を見るウルフの目は、何か残念なものを見ているようで…。そんな目で見るな、こっちが悲しい気持ちになるわ。

「フォックス…まだ昼だよ…?」
「大丈夫大丈夫。明日の朝まで続ければいいさ」
「―――っ?!!」

うん、とりあえず今度会ったらウルフを3発くらい殴っとこう。




13.08.11
楽しくて物凄いスピードで書けた(^q^)


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