小説 | ナノ



【Fare is Cookie】
※ヒロインは子どもファイター設定


「ピーチ姫、あのね…」
「あら、どうしたのなまえ?」
「あのね、お菓子の作り方を教えてほしいの」
「もちろんいいわよ。それで、何を作りたいのかしら?」
「えっとね……」



本日も平和なスマ屋敷。
中庭の木の下で昼寝をしているのは、緑のスーパードラゴン。
そこに現れたのは、ローブを纏った魔法使いの女の子。

「いたいた!!ヨッシー!!!」
「……ん〜…?」
ヨッシーの姿を見つけて走り寄るその子の名前はなまえ。小さくてもれっきとしたファイターである。
彼女の声で目が覚めたらしいヨッシーは、まだ夢うつつながら起き上がる。

「ここにいたんだー。すっごく探しちゃった」
「ああ、なまえですか…。うーん…」
寝起きの瞳になまえの姿を映すと、その場で背伸び。平和ボケした島出身のこのスーパードラゴンは、天気さえよければのんびりと昼寝を決め込むのが日課。

「僕に何かご用?」
「うん!あのね、これあげる!」
「ん?」
ズイッと前に差し出されたなまえの手にはカゴ。立ち上がってその中を見たヨッシーは、途端に笑顔になる。

「わぁー、クッキー!」
「ピーチ姫に教えてもらって作ったの」
「しかも僕の形!」
そう、紛れもなくヨッシーのクッキーである。さっそく一つ手に取って、口に放り込むヨッシー。その様子を不安そうに見つめるなまえ。

「おいしいです〜」
「ほんと?よかったー」
気に入ってもらえたことに安心したなまえは、カゴごとヨッシーに渡してその場に腰を下ろす。ヨッシーも隣に座り、次々とクッキーを口にする。

「…で?」
「ん?」
「何もないのにクッキー作ってくれるわけないですもんね。何か頼みごとでも?」
「えへへ、ばれたか」
野生の勘とでもいうのか、笑ってそんなことを言うヨッシーになまえは苦笑い。彼がいう通り、なまえが姫に頼んでまでクッキーを作ったのにはわけがあった。

「あのね、ヨッシーの背中に乗りたいの!」
「へ?」
思っていたこととは違う頼みごとだったからか、面食らうヨッシー。もっと苛酷なことを言われると思っていたのだが、やはり子どもの願いごとなどかわいいものだ。

「うーん…まぁ、なまえなら乗り捨てとかしないだろうから、いいですけど」
「乗り捨てって何?よくわかんないけど、ただ背中に乗りたいだけだよ」
「ですよね。どこぞの魔リオさんたちとは違いますもんね…」
どうやらこのヨッシー、某お方に酷いトラウマを植えつけられているようだ。

「まぁ、善は急げということで。さぁどうぞ」
「うん!」
くるんと背中を向けてヨッシーが促すと、なまえは嬉しそうにそこに飛び乗る。乗り心地はいいようで、とってもご満悦な様子。はしゃぐなまえに微笑んで、ヨッシーは手にカゴを持ってクッキーを食べながら、トコトコと歩き出す。

「すごいすごい!楽しーい!マリオとルイージはこんな感じで冒険してたんだね」
「まぁ、僕は楽しくない場面もたくさんありましたがね」
「ねぇねぇヨッシー、あの木の実食べれる?」
「んぅ?あぁ」
なまえが指指す木の実を、ふんばりジャンプから舌を伸ばして器用に食べる。彼にとって当たり前の行動でも、なまえにとってはすごいことのようで。広い庭を散歩するだけで、充分に楽しいらしい。

「私もヨッシーに乗っていろんなところを冒険したいなぁー」
「僕も、なまえならずっと背中に乗せていいですよ」
「ほんと?えへへ、ヨッシー大好き!」
カゴのクッキーはいつの間にか空っぽになってしまっていたが、ヨッシーは尚もなまえを乗せて歩き回った。その顔はどこか嬉しそうで、はしゃぎ疲れたなまえが眠ってしまうまで、二人の小さな冒険は続いたという。





13.08.10
でっていうの背中に乗りたいのは私だ!←


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