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【王さまとお妃さま】
※ヒロインは子どもファイター設定


「ねえねえクッパー」
「ん?なんだ」
それは、相変わらず平和なある日の昼下がり。
天気がいいからと中庭で日光浴をしているクッパと、そのお腹の上に寝転んでいるなまえの姿があった。

「クッパの将来の夢ってなーに?」
「将来の夢?何をいきなり…」
「昨日リュカたちと話してたの。ねえねえ教えてー」
リュカやなまえなどの子どもたちが話しているととても微笑ましいが、一応「大魔王」と自称する者にその質問はないだろう…と、マリオ辺りがいたら頭を痛めるかもしれない。
しかしここにはそんなことは気にしない、良くも悪くも大魔王クッパ様しかいないのであった。

「ガッハッハ!なんだそんなことは決まっている!ワガハイの帝国を築き上げることだ!」
「ていこく?クッパ、王さまになりたいの?」
「まあそんなところだな!」
「へえーかっこいい!」
「そうだろうそうだろう、ガッハッハ!」
…もしかしたらこの二人(一人と一匹?)の精神年齢は一緒なのかもしれない。なまえは平和な国出身のため、「大魔王」という言葉の意味も知らずに、クッパのことをマリオの友達だと思っているようだ。

「そういうなまえの将来の夢は何なのだ?」
「あたし?」
「昨日話していたのだろう?ワガハイにも教えろ」
「あたしの夢はね、クッパのお嫁さんになることだよ!」
「なぬ?!」
なまえの言葉が予想外だったため、クッパの動きが一瞬止まる。そんなクッパを見てもニコニコと笑っているなまえは、どうやら冗談を言っているわけではなそうだ。
クッパは驚いた様子でそんななまえを見ていたが、探るように口を開いた。

「ほ、本気で言ってるのか?」
「もちろん!だってあたしクッパのこと好きだもん」
面と向かってそんな告白をされてしまっては、相手は子どもといえどクッパもはぐらかすわけにはいかない。
いつもいつもピーチ姫をさらってはマリオたちにコテンパンにされてきたクッパにとって、真っ直ぐに好意を寄せてくれる者がいることに少し戸惑っているようだ。

「ワガハイと結婚したら、マリオたちと敵同士になってしまうんだぞ?」
「そうなの?でも、あたしはマリオよりクッパが好きだから、別にいいよ!」
敵とか味方とかいう概念を大乱闘の中でしか使わないなまえにとって、そんなものは大した障害にならないようだ。そういう価値観なしに送られた純粋な言葉が、クッパには嬉しかったのだろう。

「ガッハッハ!よかろう!そこまで言うなら、ワガハイがクッパ帝国を築き上げた暁には、なまえを女王にしてやるぞ!」
「ほんと?!やったー!」
両手を上げて喜ぶなまえを見て、クッパはまた満足そうに笑った。
穏やかな昼下がりにおよそ似合わない会話だが、二人(?)が幸せなのであればそれでいいのかもしれない。

それにしても、もし本当にクッパの野望が現実になったら…こんな可愛いお妃さまが悪役として誕生することになるわけだ。
うーん、マリオたちは困ってしまうかも…?




13.11.11
猛烈に書きたくなったクッパ夢

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