小説 | ナノ



【星降る夜に、】
※擬人化注意


「さっむ……」
もうそろそろ日付が変わろうかという時間帯。私は屋敷を抜け出して丘へと来ていた。
夜の外出は禁じられているから(マスターハンドは意外と過保護だからね…。)、そっと部屋の窓から飛んできたってわけ。

まだ雪は一度も見ていないけど、もう季節は冬。この時間ともなると風は冷たく、身を切るような寒さ。
それでも私がここに来たのは、どうしても見たいものがあるから。

「うわぁ…すっごい…」
草に寝転んで見上げれば、そこは満天の星空。澄んだ空気のおかげで、星屑がたくさん見えた。
今日は流星群が見えると聞いて、いてもたってもいられなくなっちゃったんだ。こんなに綺麗な星空は、生まれて初めて。寒くても無理して来てよかったなぁ…。

「…あれ?」
しばらくは夢中で観察していたんだけど、あることに気付く。無数の星が明るく照らす紺色の空に、一つの影。
蝙蝠のような翼だな、なんて思っていたら、小さかったそれは段々大きくなってくる。こっちに近付いてきてる?

「……あ」
その影は私がよく知っている人だった。だけど、普段と大きく違うところがあって…。

「メタナイト!」
「なまえ、ここに居たのか」
そう、影の正体はメタナイト。私の近くに静かに着地した途端、その大きな羽は夜の色をしたマントに変わった。
私が声をかけると、彼は呆れたような溜め息を吐く。

「仮面つけてないね」
「必要はないと思ったからな。それに…急いで部屋を出たからつける暇などなかった」
トレードマークの仮面がないことに触れると、少し考えた後に答えが返ってくる。話を聞くと、もう寝ようとしていたメタナイトが偶然窓の外に飛んでいく私を見つけたらしい。

「あまり心配させるな。魔物でも出たらどうする」
「ご、ごめん…。でもね、どうしてもここで星が見たくて」
「星?」
この人はこの人でなかなかの過保護だったりもする。というか、まあ一応お付き合いさせてもらってるわけだから、当然なのかな?
真っ直ぐな瞳で見詰められると、それなりに罪悪感も湧いてくる。小さく謝ったら、ポンポンと頭を撫でられた。そして彼も空を見上げる。

「確かに、これは美しいな」
「でしょ?ここは周りに何もないから、すっごく綺麗に見えるんだよ」
星と満月、それ以外の灯りは何もないこの空間。なのにお互いの顔が見えるくらいに明るい。

「ずっと見てても飽きないなー」
「そうだな。だが…」
「ん?」
隣に座ったメタナイトが動く気配を感じた次の瞬間、ふわりと抱き締められた。少し驚いたけど、感じた体温が心地よくて体を預ける。

「冷えているな。風邪をひいてしまうぞ」
「うん。でも、もうちょっとだけ…」
私のワガママに、メタナイトは苦笑。でも無理に連れ帰るようなことはしないで、マントで私を包むようにして冬の空気から守ってくれた。
これなら少しは温かいだろう、って。そう言って優しく笑うもんだから、冷えているはずの顔が熱くなるのを感じた。

「流れ星がたくさん見えるから、願い事したいの」
「どんなことを願うんだ?」
「ふふ、ナイショ!」
「…なら、私も何か願おうか」
「うん。それがいいよ」

二人で空を見上げて、心から願う。星の囁きを聞きながら、体温を分け合って。
「ずっと一緒にいたい」と。同じ言葉を浮かべた私たち。




13.11.17
くっさ…!←


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