小説 | ナノ



【with the melody】
※ヒロインは恋人設定




「Hey、なまえ!」
「あ、ソニックおはよう」
「今日もキュートだな!I love you!」
「わっ!ちょ、ちょっとー」
朝イチで会ったソニックに、いきなり抱き締められて、頬にキスされる。
ソニックからすればキスなんて挨拶にすぎないんだろうけど、私は恥ずかしすぎて視線を泳がせてしまう。

彼は自分の気持ちのままに行動するタイプだから、こういうスキンシップなんかも日常茶飯事。だけど私はそういうの慣れてないから、ハグとかキスとかする度に顔を真っ赤にしてしまう。

「ソニック…は、恥ずかしいから…」
「俺は照れてるなまえの顔も好きだぜ」
「……!」
自分が照れ屋だとかは思ったことがない。けど、私にとってソニックは初めて出来た彼氏さんなわけです。
その彼氏がこんなにもストレートな愛情表現をするものだから、戸惑ってしまう。

「あらあら、相変わらずね二人は」
「朝っぱらからイチャイチャしやがって」
「ぜ、ゼルダ…リンク!ちょっとソニック、そろそろ放してよー!」
「あ!なまえ!」
微笑ましい(というか、呆れてる?)リンクたちの視線に耐えきれず、私はソニックの腕をふりはらって逃げ出した。
音速のハリネズミと呼ばれるソニックには足では敵わないから、すぐさま瞬間移動の呪文を唱える。


やってきたのは屋上。だけどそこには先客がいた。

「…なまえじゃないか、どうした」
「シャドウ…」
ソニックそっくりな黒いハリネズミ、シャドウ。彼が空を見上げていた。
心臓もドキドキうるさいし、顔だって赤いままの私は、とても疲れて見えたみたい。シャドウは振り返って私を見た途端に少し心配そうな顔になった。

「またソニックか?」
「はは、わかる?」
「そんなに顔を赤くしていれば、いくら僕でもわかるさ」
シャドウには、ソニックのことで何度か相談にのってもらったりしている。見た目は少し怖そうだけど、優しいんだ。

「やっぱりさ、慣れないんだよね…あのストレートな言葉とか」
「まぁ、性格的なものもあるだろうからな」
「普通キスなんて一日に何回もするもんじゃないよね…?私の心臓もたないよー…」
それとも、世の女子は全員こんな気持ちと戦って恋愛してるの?!シャドウは少し呆れているようだけど、私からすれば一大事だよ。

「しかし、それで逃げてしまっては何もならないだろ」
「そりゃあ、そうだけどさ…」
「ソニックからすれば、嫌われたと思ってしまうんじゃないか?」
「――…うん」
そうだよね…。ソニックのこと大好きなのに、傷つけちゃったかな…。自分の気持ちを伝えたりしたいのに、いつもいつも恥ずかしくなっちゃってなんか上手くいかない。
でも、このままじゃいつか嫌われちゃうよ…。私を変えることができるのは私だけだもんね。

「なまえ!」
「あ…ソニック…」
「良かった、心配したぜ!」
現れたソニックは、突然私を抱き締めてきた。チラリと隣を見たら、シャドウが頷いて何処かへ跳んでいくのが見えた。
シャドウにはいつも助けてもらってるもんね。今度会ったらまたお礼を言わなきゃ。

「ソニック、その…ごめんね…。逃げちゃったりして…」
「Don't worry!なまえは悪くないさ」
笑顔で頭を撫でられて、また胸がドキドキする。やっぱり恥ずかしさはあったけれど、今のシャドウとの会話を思い出して自分を勇気付ける。

「俺の方こそごめんな。キスとか、なまえが苦手なら、今度から控えるから」
「いや、その…苦手っていうか…えっと、ね…」
口ごもってしまう自分がもどかしい。言いたいことはたくさんあるのに、上手く言葉にできなくて焦ってしまう。
でも、シャドウが言ってたじゃない。逃げてしまったら何もならないって。私の気持ち、ちゃんと伝えなきゃ。

「まだ、恥ずかしさが勝っちゃうけど…私、頑張るから…。ソニックに、ちゃんと応えられるように…」
「それは嬉しいな!だけど、無理はしないでくれよ?」
「大丈夫!だって…私もちゃんと、ソニックのこと…好きだから」
好きって口にするだけで、顔が熱くなるのがわかる。でも、この気持ちを伝えることができただけでとても寂しそう安心できた。
目の前のソニックは私の言葉に一瞬驚いたような顔をしたけど、その直後に眩しい笑顔を見せてくれた。

「なら俺はこれからも全力でなまえに愛をぶつけていくぜ!」
「う、うん…。私もちょっとずつ…頑張る…!」
ソニックの笑顔が見れると、私も嬉しくなるよ。すぐには無理だろうけど、ちゃんとソニックの気持ちを受け止めて、同じように返していけるようになりたいな。




13.09.27
1700番自爆フリリク「ソニック夢」
シャドウなんか空気ですみません←


27 / 113
/

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -