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【君に告ぐ、恋心】




「……」
私は今、修練場にいる。やることは修行以外にはありえないだろう。
昨日、乱闘でサドンデスになった際に小さなミスが原因で敗れてしまった。自分の特質上、負けるべきではなかった場面だというのに…。
そんなわけで、この場所で修行をして波導をもっと上手く使えるようにならなくては。
細い足場に乗って、目を閉じて精神を集中する。周りの音も聞こえなくなるほどに、無我の境地へとたどり着くために…。

「……」
ジ―――…

「……」
ジ―――…

「……」
ジ―――…

視線。視線。視線。
背中の方から、痛いくらいに真っ直ぐな視線を感じる。私はそれが何者によるものなのかわかっているのだが、流石に無視することができないレベルだ。

「…なまえ」
「ん?」
「非常にやりにくいのだが」
そう、視線の主はなまえ。先ほど突然この修練場に現れてからというもの、この状態だ。

「えー、だってルカリオ見ててもいいって言ってくれたでしょー」
「それは、そうだが…。流石に…」
「いやいやルカリオ君、どんな状況でも集中力を切らさないのが一人前のファイターなのだよ」
「……」
いつだったか、マスターハンドがそんなことを言っていたな。いやしかし、す…好いている者にそのように見詰められていては、どんなファイターでも集中力など皆無になるだろ!

「じゃあ、そうだなー、私が今考えてることをルカリオが言い当てたら、屋敷の中に戻ろうかな」
「なに?そんなことは…」
「簡単でしょ?はい、当ててみて」
「?」
なまえからの申し出の意味がわからず、私は首を捻るばかり。
何故なら、我が波導によれば相手の心を読み取るなど容易いこと。それをなまえだって知っているはずだ。それなのに、どうして…?

「早くー」
「あ、ああ……」
催促されて熟慮から解かれた私は、再び目を閉じる。神経を研ぎ澄まし、波導の力を集めると、なまえの心の声が直接私の頭の中に囁きかけてきた。

『ルカリオ、大好きだよ…』

「っな…?!!」
想像もしていなかったその内容に驚きすぎて、声を上げた直後にドサッと足場から転落してしまった。
か、完全な不意打ちではないか…!

「ルカリオ大丈夫ー?」
「う…ああ…。すまない」
駆け寄ってきたなまえが差し出した手を掴んで立ち上がる。しかし、あんな言葉を聞いてすぐにはその顔を見ることができなくて、視線を逸らしてしまった。

「私の考えてること、わかった?」
「……そ、それは…」
クスクスと笑うなまえに、私はしどろもどろになってしまう。
もしかしたら、からかわれているのかもしれない。そんなことを少し考えた。いや、寧ろそうであってくれた方が楽だったのかもしれない。

「それ、私の本心だからね」
「っ!」
しかし私の甘い考えは本人によって打ち砕かれ、更にはその唇が私の額に触れたのだ。全身が心臓になってしまったかのように、ドキドキと拍動が五月蝿い。

「ルカリオの返事、聞きたいな」
「わ、私は…!」
大きな瞳にじっと真っ直ぐに見詰められては、もうはぐらかすことなどできそうもない。

我が本心を口にするまで、あと数秒…。




13.09.24
1700番自爆フリリク「ルカリオ夢」
逆に短めですね…遅くなりました!

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