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僕たちに、「先」なんてあるんだろうか。
それでも、明日、明後日のことを考えると、もらった缶詰を我慢して少しづつ食べるようにした。弟は何も言わなかったけれど、きっと、もっとお腹いっぱい食べたいはずだ。
もっと、もっと、楽しい夏休みを送りたかった。
赤崎さんから缶詰をもらって2日が経った。昨日は桃の缶詰を、今日はパイナップルの缶詰を空けた。僕はパイナップルがあまり好きじゃなかったけれど、すごく美味しかった。
ピンポン。軽い音でチャイムが鳴る。気だるい身体を起こして、弟に出させる。
相変わらず汚らしい僕らで、それが僕はすごく恥ずかしい。
「赤崎さんっ!!」
弟がきゃーっとはしゃいで言った。僕はまたこっそり、陰から覗いた。すると赤崎さんは僕に気付いて、手招きしてくれる。
「こんにちは」
「こんにちは!」
「……こんにちは」
赤崎さんが言って、弟が元気に答えて、僕はおずおずと頭を下げる。
「あのね……よかったら、うちでお泊まり会、しない?」
にこっと笑って言った赤崎さん。
僕は、赤崎さんが僕たちのこと、全部お見通しなんじゃないかと思った。
お見通しで、助けてくれればいいのに、って、思った。
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