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 お腹が空いた。
 喉が渇いた。
 体が気持ち悪い。

 一日のほとんどを寝て過ごした。クーラーは動かないから窓を開けておく。風なんてほとんど入ってきやしない。外には出たくない。誰にも会いたくない。
 なんでこんな思いしなきゃいけないんだろう。

 お母さんが恋しくなって、古いアルバムを開いた。若かった頃のお母さんが写真の中で笑っていた。若いお父さんはかっこいい。
 目頭が熱くなるのに、なにも出てこない。

 アルバムの一番後ろに、お母さんの字で「大好きな家族」と書いてあった。


 本棚を漁っているとへそくりが出てくる。僕と弟はそのお金で久しぶりにご飯を食べた。コンビニの弁当だったけど、すごく美味しかった。美味しかった。
 本当は少しでもお金を残しておきたかったけど、弟が一個だけ、と小さなお菓子をねだったので買った。二人で分けて食べるとすぐになくなる。おいしいと、弟が嬉しそうに言った。

 僕はいよいよ、このまま死んでしまう自分を想像した。

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