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 話は遡り、下戸(ゲコ)と柿狗(カキク)の生放送が終了した翌日の事。古佐治(コサシ)の元に下戸から写真付きのメールが届く。
『結婚しました
下戸三月(サンガツ)
下戸君昭(キミアキ):旧姓柿狗』
 わざわざよくある結婚報告のハガキのように加工されたそれは、揃いの指輪を見せつけるようにして嬉しそうな顔(柿狗は呆れた顔で下戸を見つめている)をこちらに向けていた。
 末長く爆発してろ、と思いつつ深いため息が出てしまう。軽いキャラを演じてみても自分自身を騙すことは出来ないようだ。高校時代から抱いてきた恋心は、意外と根深いらしい。
 古佐治は生放送を個人的に録画しておいた一つを再生した。お気に入りなのは、下戸が罰ゲームで受けを初めてする回と、浣腸したまま突っ込まれている回。
 すぐに果ててしまう柿狗を鼻で笑って、「俺ならもっと上手に……」なんて思っている自分が虚しくなった。どう足掻いても、結局下戸は最初から最後まで柿狗の事しか見ていないのだから。
 それでも見続けてしまい、胸はジリジリと灼けつくようだった。たった一度でいいから、抱きたい。その考えに脳を支配されて行く。画面に映る下戸の背中に、指を伸ばすなんて、そうとうキてる。
 はあ、古佐治はため息を吐いてパソコンをシャットダウンした。気分転換にコンビニに行こう。明日からは連休が始まることだし、一人寂しく酒を呷ってやる。半ばヤケクソになりながら近所のコンビニに向かった。

 ウィーーン。
「ありがとうございましたー」
 調子に乗って買いすぎたビールやらつまみやらの入った袋を二つ抱えてコンビニを出る。連休中に飲み終わるだろうか、むしろ少ないくらいだな。
「こさしっ」

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