9


 シャワーのヘッドを外し、穴にぬるめの湯をかける。古佐治は再び差し込んだ人差し指で穴を押して拡げながら、中に湯を注いだ。
「うあ……なんか、変な感じ……」
 なんとも言い難い感覚に、二歹は絞るように声を漏らした。穴がくぱくぱと開いたり閉じたりを繰り返すのを見ているのがよくなかった。古佐治の頭の中でカッと火がついたように熱くなる。
 おもむろにホースを無理やり穴にねじ込む。
「ああっく、んんんっ」
 背が揺れて、動揺しているのが見て取れた。隙間から零れでる量より、明らかに注ぎ込まれる量の方が多い。湯の溜まった下腹がみるみる膨れていく。
「はああっ、あー、っうあ、あっ」
 苦しくて手に力が入らないのか、頭を床につけて喘いだ。苦しそうな声にぞくぞくする。いよいよ湯が入らなくなってしまったので、ホースを乱暴に引き抜く。
「んんんー、ああ、はあっ、あー」
 ぶしゅっ、ぶしゅ、湯を噴き出す穴に手のひらを当てて出口を塞ぐ。全てを抑える事は出来ないが、それでも十分出せないことで苦しさが増幅されていた。
「あーー、はあはあっ、あーーっあ、あ、」
 腹の中に溜まったものがぐずぐずになっているだろうな、と想像しながら、二歹の背中をぼんやり見つめた。
 二歹の弟の姿が重なる。罪悪感ばかりが浮かんでいたが、脳は麻痺したのか、今は何とも感じなくなっていた。どうせ抱けないのなら、よく似たこの人でもいいんじゃないか。
 DNAもほぼ一緒、違いと言えば、この人にあの邪魔な存在はいない。
「っく、う、……こさ、っくるし……」
 ようやく二歹が悲願するように根を上げたが、手を離す気など毛頭なかった。残虐性に富んだあのどす黒い感情を歯止めするものなど、もうない。
 手を退かす代わりに、自身の性器をあてがう。散々欲望の限りを尽くした筈なのに、怒張して凶器のように硬くなっていた。
 二歹もそれがわかったのか、身体を緊張させる。なんの言葉もかけずに、傷付いた穴を傷付けながら挿入した。

- 9 -


[*前] | [次#]
ページ:






戻る