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「ああああ」
それは悲鳴だった。力の入った穴に指と性器をねじ込むから、括約筋が無理に引き裂かれている。指で穴をこじ開けなければ、性器は食い千切られていたかもしれない。
性器が入る代わりに、汚水となった湯が隙間から溢れた。それでも胎内の容積の方が大きい。二歹の下腹部は不自然に膨れたままだ。
「あーー……あーー……」
あまりの苦しさに二歹が呻く。声出さないでくれないかな、黙ってて欲しい、あなたの声耳障り、古佐治は顔を顰めた。
「はあ……はあ……」
口が閉じられないのか、よだれをたらたらと零している。顔は弟とよく似ているから、ここからだと見えないのが残念だった。
だけど、顔が見えたら見えたで、きっと違いの方が目についてしまうだろう。なんでもいいや、「それらしいもの」を、好きにするだけだ。
古佐治は二歹の腰を抑えて律動を始める。気持ちいいというよりは、壊しているという感覚が楽しかった。
「ううー………あー……はーーあーーんぎっ」
痛みを散らすために声を上げる二歹にいい加減嫌気が差して、髪をつかんで顔を上げさせる。毛が数本抜け、無理やり身体を起こされた苦痛に二歹は顔を顰める。
「少し黙ってもらえますか」
口を手で覆い、律動を再開する。くぐもった、不明瞭な呻きはなかなか悪くないかもしれない。
辛い仕打ちは、二歹が嘔吐しても止まらなかった。
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