変態叔父さんボツになる




 俺が十五歳の時、姉が赤ちゃんを産んだ。病室でおくるみに包まれたくしゃくしゃの赤ん坊が、俺の指を掴んで微笑む。
 世界一可愛い甥っ子の誕生だった。

<変態叔父さんハイになる>

 甥っ子の翼斗(よくと)が生まれたときからの成長は片時も離れず見てきた。毎年の誕生日はもちろん、七五三、小学校入学式、授業参観に運動会、中学高校、学校行事に始まり、初恋や苦手の克服、勉強を教えたり少し背伸びして遊んだり。
 一つ一つ大切な思い出を忘れたくないから、日記とアルバムに納めてきたけれど既に二十冊を超えていた。それを夜な夜なめくっては、翼斗の成長に感動したり、素敵な思い出に浸ってみたり、幸福に満ちた生活だった。
 翼斗は大学進学を機に、一人暮らししていた俺の元に転がり込んできた。大学に通うのに便利だから、という理由をつけたけれど、一緒に暮らすために大学を選んだんじゃないのかな、なんて思っている。
 なにせ、成績があまり良くない翼斗が、うちの最寄りの難関校に泣きながら勉強して入ったほどだから。
 もちろんその時の写真もある。寝落ちしているところや、模試の結果が振るわず落ち込んでいるところ、合格発表で名前を見つけて喜んでいるところも全部撮ってある。
 翼斗は恥ずかしがるから、俺だけの秘蔵アルバムだけれど。
「よ〜くと……ありゃ、寝てる」
 風呂から上がると、先に風呂から上がってベッドでごろごろしていた翼斗は眠っていた。シャツとパンツしか着ていなくて、裾がまくれてへそが出ていたからシャツを下ろしてやった。腹を冷やしたら嫌だろうに、そんな翼斗も見たいけど。
 成人した男二人で寝るには少し狭くて、対面にソファーベッドを置いてあるが、翼斗はベッドで一緒に寝たがった。
 赤ちゃんの頃から添い寝してあげていたから、その癖が抜けないんだろう。
 俺はそんな可愛い甥っ子を後ろから抱きしめるように横になる。
 少し水気の残った艶っぽい髪から、ふわりと甘い匂いがした。同じシャンプーを使っているはずなのに、翼斗からする匂いはいつも少し甘く感じた。
「んん……」
 小さく呻いて身体を寄せてくる翼斗にドキッとした。起きたのかと思ったが、やっぱり眠っているようだ。起きているのか観察するためにまじまじ見つめていたが、次第に目を離せなくなっていく。
 黒髪の裾から覗くうなじは白く、滑らかだった。いつ見てもきれいで、思わず触りたくなる気持ちを抑えるのが辛いほどだ。
 翼斗が呼吸をするたびに、身体が小さく動く。腕を回して抱きしめると、顎がちょうど翼斗の肩口にフィットする。そのまま匂いを嗅ぎつつ、首に触れるか触れないかのところまで顔を寄せる。
 なんて無防備なのだろう。傷ひとつない首筋に噛み付いて、泣くまでその口を離したくない。
 最近はそんな妄想が酷くて、俺は目を瞑った。
 ごめんな、いい叔父さんでいるから。
 でも、でも少しだけ……。
「食べたい」
 髪をよけて生え際に唇を押し当てる。本当は跡を付けたかった。ここになら気付かないだろうし。でも、そんな事をしたら翼斗の顔を見るたびドギマギしてまともじゃいられなくなるだろう。
「……起きないと食べちゃうぞ」
 今日は熱が治らなかった。柔らかい耳たぶを唇に触れながら言ってみても翼斗は起きない。
「本当に食べちゃうぞ。……食べてもいいのか?本当に本当に食べちゃうぞ。……イートミー!(裏声)じゃあ食べちゃうぞ」
 一人でつまらない小芝居をしてから、首筋に触れようとして、やっぱり止めた。可愛い翼斗に傷を付けるだなんて、そんなこと……。
「うっ、あ」
 うじうじしていたら翼斗がくるりと身体を反転させた。いつから起きていたんだろう。言い訳しようにも、言葉がうまく出てこない。翼斗の手が頬に触れる。叩かれる?ひっかかれる?見損なったと蔑まれる?
「Eat me」
 翼斗の唇がそう言葉を発して、それから微笑んだ。最初は頭が混乱して意味がわからなかったが、さっきのつまらない小芝居を真似たのだと気付く。その瞬間から心臓が爆発しそうなほどバクバク言って頭に血が上り、熱が一気に上がった。
「はっあ、本当に食べちゃうよ?」
「是太(ぜた)くんに食べてもらうために美味しく育ったんだよ」
「ッッッ」
 そんな事を言われてしまったら、据え膳食わぬは、だ。俺は翼斗の肩を押さえて馬乗りになる。ああ、本当によく育っている。喉仏が綺麗に浮き出ていた。シャツの下で乳首がツンと主張している。ちらりと覗くヘソがいやらしく見える。今にも脱げそうなパンツを下ろしてしまいたい。どこから食べよう、どこも美味しそう。
 俺が盛大に迷っていると、翼斗の手がまた頬に触れた。それに導かれるまま、俺は翼斗にキスをする。吐息すら甘い。唾液の交換に興奮する。翼斗の体液が俺の中に入ってくる。舌に触れる。柔らかいところに優しく歯を立てて、存分に味わう。
「んっは、あっ、あ、ぜ、たくんっ」
 夢中になって貪っていると、翼斗が俺を叩いて顔を背けた。ハッとして正気に戻るが、一瞬繋がった銀糸がエロいとか、そんな事でまた頭がいっぱいになる。
「息できないよっ」
 はあはあと苦しげにしながら訴えた。少し恥ずかしそうに、不機嫌そうにする翼斗が可愛い。
「……もしかして、キスしたことない?」
「ずっと見てきたんなら、是太くんの方がよく知ってるだろ」
 ツンと顔を背けるのは照れ隠しだ。
 そうか、そうだ。翼斗が初めて自慰したときの事だって日記には書いてあるけれど、キスをした記録は一度も書いた覚えがない。誰か好きな子でもできてこっそりしてるものだと思ったけれど。
「ごめん、じゃあ、ゆっくりしよう」
 俺はそう言って、翼斗にキスをした。重ねるだけのキス、唇が触れる熱を確かめるように何度か繰り返す。初めても、二回目も、その後も、翼斗の唇を全部俺のものにしてしまった。
 そのまま首筋をたどり、降下していく。シャツの上からでもわかる、ぷくりとした乳首に頬擦りをした。ぷにぷにと触れる愛しいものがたまらない。
「んん、是太くんなにしてるの」
「翼斗の乳首に大きく育ったね、って」
「乳首は大きくないから!ちゃんと見て」
 翼斗の手が俺の顔を押しのけ、シャツを捲り上げる。乳首が大きいのは嫌なのかな。
 ほら、と見せつける乳首は赤くぷちんと主張して目に毒だ。舐めたい、しゃぶりたい、可愛がりたい。
「舐めてもいいよ」
 またツンと顔を背けて言う。
「でも、俺が舐めたら乳首大きくなっちゃうかもよ」
「ッ!じゃ、じゃあちょっとだけ。一回ずつだけ。一日」
 毎日一回ずつ舐めていいんだ。こんな欲望まみれの俺のためにそこまで許してくれるなんて。
「じゃあ、一回ずつ、舐めるよ」
「ん……う、うあ……」
 まずは翼斗の左胸の乳首を、なるべく味わいたいから、舌を出してべっとりと舐める。なんとなく甘い気がするのは気のせいだろうか。
「翼斗、こっちは吸っていい?」
「え、ん、ん、少しだけなら」
「何秒?」
「えっ、じゃあ、十秒」
 反対側の乳首を指差して言うと、翼斗が迷いながら決める。制限を決めないと、俺はきっと夢中になって延々吸い続けてしまうからね。でも十秒って結構長い。
「じゃあ吸うよ」
「んっっひう、あっっっじゅっきゅうはちななろくごよんさんにいちぜろ終わりっ」
 吸いだすとその感覚に戸惑ったのか、カウントはものすごい勢いで減って言った。
「待って、翼斗。今のはカウントに不正があると思います」
「う……」
「ほら、時計見ながらちゃんとカウントして」
「わかった……」
 翼斗に腕時計を差し出して計測をし直してもらう。さっきは早すぎるカウントに気を取られてあまり吸えなかったから、今度は時間めいいっぱい吸い尽くす。そんな気持ちで構える。
「ん、よーい、はい」
 じゅちゅうううう。
「んああっやっ優しくしてっあっあっあっ」
 翼斗が声を上げたから、仕方なく、ちゅうちゅうと小刻みに吸いたてる。十五も下の甥っ子のおっぱいを吸ってるなんて、ここは天国だ。
「もう終わり」
 明らかに十秒より長い時間が経ってようやく、翼斗の手が俺の頭を押した。チュパッと音を立てて離すと、真っ赤になった乳首がぬらぬらと濡れている。これを写真に撮って壁に飾ったって十分芸術になりそうだ。
「絶対乳首大きくなった……」
「明日は反対側、吸ってあげる」
「そんなに乳首好きなの?」
「翼斗が好きなの」
 俺が言うと、翼斗は頬を染めながら俺の頭を撫でた。なんて至福の時間だろう。
「もっと舐めたいところ、あるでしょ」
 翼斗が乳首をシャツで隠すと、指で下の方を示す。翼斗の身体は全部舐めたいけれど。
 俺はあばらのあたりをちゅっ、ちゅっとキスしながら、へそに辿り着き、舌をねじ込んだ。
「えっ?!そこっっなの?!」
 レロレロと舌を動かす。ここにまだへその緒が繋がっていた時から、俺は翼斗の事を知っていたんだ。エコー検査で判別もつかないくらい小さい時から。
 それを思うと、ほんと、大きくなったなあ。
「んんんっヘソやだ」
 翼斗は顔を振って言った。ヘソを舌でぐりぐりと刺激すると、翼斗の身体がビクビクと震える。
「もうだめ」
 手を差し込んで、ヘソと俺との間に壁を作った。仕方ないから指にキスをすると一瞬揺れる。俺の与える刺激全てに敏感に反応する翼斗が愛しい。
 それから視線を下に落とす。パンツを押し上げて主張する、翼斗の可愛い部分。布が少し濡れていていやらしい。
 中学生の頃は自慰の痕跡を見つけていつしていたのか事細かに記録していたけれど、高校生になったあたりからは隠しているのか、中々最中に遭遇することも無くなっていた。
 うちに転がり込んでからは少し大胆になったようで、夜中にしている時もあったようだけど。
 この三日は忙しかったのか抜いていないのは確かだ。
「は、あ……見過ぎ」
 翼斗は恥ずかしげに顔を背けて言った。くしゃりとシャツを掴んで恥じらう様子が可愛い。
 俺はパンツのゴムを掴み、ゆっくりと下ろす。柔らかい生地からぷるんと顔を出す、いきり立ったそれは神々しい。
 皮の剥けた鮮やかなピンク、その割れ目からは薄い白濁混じりの透明な液体がとろりと溢れる。怒張した肉棒を辿り、落ちることすら気持ちいいのかビクビクと揺れている。
 あまりの光景に魅入った。美しかった。ただただ見惚れるしかなかった。
 そんな俺に痺れを切らした翼斗が俺の頭を掴む。
「ッ見てるだけ?」
「舐めてもいい?先っぽだけでいいから」
「先っぽだけ……ふっあ、あ、」
 かぷ、と先端を口に入れる。液のひとしずくも零さないよう、ちゅる、ぢゅると優しく吸い上げる。それだけで十分だった。ずっと、このまま翼斗のいやらしい液を啜っていたい。樹液に集まる虫のように、この甘い蜜に吸い付いていたい。
「ああっあっあ、」
 舌を亀頭に擦り付けると溢れるように液が出る。可愛く喘ぐ翼斗。気持ち良さそうだ。もっともっと感じて欲しい。ひたすらに丹念に先端を嬲る。
「はああっあ、先だけっやだ……っく、ううう」








長過ぎしつこ過ぎ熱が冷めたまじむり叔父さん。
そのうちリベンジ
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