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 時々、衛士さんは寂しい僕の作り上げた悲しい妄想なのでは、と思う事があった。
 時間が経つほど、その思いは強くなっていく。眠れない夜に拍車がかかった。
 夜中に目が覚めて、嫌な考えが頭の中でぐるぐる巡る。
 僕が咳をすると現れ、眠ると姿を消してしまう。まるで幽霊みたい。本当は衛士さんなんて居なくて、僕はやっぱりぽつんと一人で死んでいくんだ。
 そう思うと悲しくなった。
 衛士さんが現れる前より、ずっとずっと悲しくなった。



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