規則


月代高等学校の規則〜第一章〜

  
・制服は学校指定のものを着用する(生徒会は例外)

・飲酒、喫煙は決してしない(生徒会は例外)

・決められた時間で行動し、学校中心の生活をおくる、遅刻厳禁(生徒会は例外)

・部活動も勉強も熱心に取り組む(生徒会は例外)

・上記の規則が守れなかった場合は生徒会が制裁を下す




月代高校は全国でも有名な優秀校だ。

各部活動でいつもトップ3に入り、学力も非常に長けている。

しかし、それだけ優秀校でありながら偏差値は低く、素行の善し悪しや前科も問わない。

馬鹿や不良からしたらこれほど嬉しい学校はなく、言わば天国だ。

そんな月代高校には毎年、各県でどこの学校にも入れてもらえなかった馬鹿や不良が沢山入学してくる。

本来ならばそんな学校は、教師の手に負えず、すぐ荒れ果ててしまうだろう。

しかし、月代高校は荒れる気配さえなく、むしろ毎年良い方に向かっている。

月代高校が、なぜこんなにも良い面で全国に名を轟かせるのか、その答えは一つ――


生徒会の存在。


生徒会とは生徒の代表と各委員会委員長で構成された役員で成り立っている。

そのシステム自体は他校となんら変わりはないが、月代高校の生徒会にはちょっと特殊な条件がある。

それは、不良でなければ入れないと言う普通じゃありえない条件。

この最低条件を満たしていない生徒は決して入る事を許されない。

しかし、不良なら全員入れるわけではなく、不良の中でもそれなりの実力がある生徒でなければ入会許可はされない。

そのため、月代高校の生徒会は全員実力のある不良で構成されているわけだ。

そんなトップクラスの不良ばかりの生徒会に、一般生徒はもちろん雑魚不良、教職員まで逆らう事はできない。

もし逆らうのならば病院送りは覚悟しておいた方がいい、と言うぐらい圧倒的な強さ。

月代高校生徒は生徒会に怯え、規則を破る事ができない。

この原理で、月代高校は善い学校と謳われている。

学校の評判が良くなる事で校長や理事長も大変喜んでおり、生徒会に感謝するあまりだ。

飛鳥は当然月代高校のこんなシステムを知るはずもなく、只今その危機に面しているのであった。

竹刀を持った大柄な男五人に囲まれ身動きもとれない状態。

一人の男が竹刀を手で弄びながら飛鳥に問う。

「今が何時かわかってんのか?登校時間とっくにすぎてんだよ」

高校生男子特有の低い声には怒気がこもっている。

戸惑いつつも、恐る恐る口を開く飛鳥

「あ、あの・・・スイマセン・・・」

「スイマセンで済んだら俺ら”風紀委員”はいらねえの」

風紀委員会は学校の風紀を守る委員会。

主な仕事は学校の見回り、学校の門番、生徒指導などで、門番の仕事の中に遅刻者指導も含まれている。

飛鳥は目が覚めた時点で確実に遅刻の時間だったため、風紀委員の指導を受けている。

「今日は始業式があって早めの登校のはずだけど?」

「あの、転校してきたばっかで・・・」

「へー・・・だから見たことない顔だったのか」

在校生は大勢いて、一人一人の顔を覚える事は流石にできないが、飛鳥は女顔のため、それなりに目立つ顔立ちだ。

そのため風紀委員も転校生と言う事で納得できた。

そして、風紀委員は飛鳥を直視して言葉続ける

「じゃあ新入りに教えておいてやるよ、学校の規則第3条――」

そこで一度言葉を止め、代わりに左手を上げ他の風紀委員に合図をおくる。

それと同時に竹刀を持った風紀委員達が一斉に飛鳥に跳び掛かる。


「――遅刻厳禁。これを守れなかった場合は生徒会、風紀委員が制裁する」





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