卒業試験当日


「次、奈良シカマル。」

「はぁ、めんどくせぇ」

ーボフン

「よし合格だ。次、秋道チョウジ…」


次々名前が呼ばれ続々と増えていく合格者
そんな中ソワソワしている少年が一人

あぁ〜!やばいってばよ!もうすぐオレの番じゃねーか!
今日だけでいいから上手くいってくれ!


「合格。次は…うずまきナルト!」

ついにやってきたこの瞬間
こっちの方が緊張する
きっと隣に座っているイルカ先生も同じ気持ちだろう

「よぉ〜し!見てろー!分身の術!」


ーボフンッ


煙から現れたのは全くバランス取れていない分身

ここにいる教師が私とイルカ先生だけならどれだけよかったか
この子がこれまでどれだけ努力をしてきたのかを私たちは知っている
しかし現実はそう甘くはなく

「残念だ、失格」

そう伝えたイルカ先生はもっと辛いだろう
ナルトはこちらを見ることなく走って教室から出ていった


『イルカ先生、どうにか合格にしてあげられませんか』

「あれは分身とは言えませんから、足手まといを増やしただけ…残念ですが」

きっとイルカ先生も悔しいのだろう
ナルトのために心を鬼にして決めたんだ


試験が終わり合格したものは皆
嬉しそうに額当てを付けて喜びを分かち合う
そんな様子をブランコにまたがり寂しそうに見つめるナルト


『ナルト…次頑張ろう』

「……ミツバ先生だって本当は落ちこぼれだって思ってんだろ?」

『え?』

「こんな事もできねーんだって、可愛そうだから優しくすんだ!!」

『ナルトっ!?!!』

そう言って飛び出して行ってしまった
少し、無神経だったかもしれない

一番悔しいのはナルト自身で
頑張ってるのに上手くいかなくて
そんなナルトに次頑張ろうなんて
これ以上何を頑張れって言うんだ


真実


そして夜になりあの事件が起きた
火影様に召集されナルトを探す

あの時、追いかけていれば

ナルトが行きそうな場所は全部回ったが見つからない
私はあの子のこと知っているようで何も知らなかったのかもしれない

森に入ると少し先の方角に白い煙

あそこか!


『!?』

目を疑った
ナルトの何百人もの影分身
分身すらまともにできなかった子が
この量の影分身を…?!

一斉にミズキに殴りかかる影分身達
そんな中ケガをしたイルカ先生が目に入る


『イルカ先生!!大丈夫ですか?!これは…』

「あぁ、ナルトのやつこれで卒業ですね」

今にも泣きそうにな声でそう呟いた。





ミズキを気絶させ
額当てをもらったナルトが私に気づき近づいて来る

「ミツバ先生……さっきはその、ごめ『卒業おめでとうナルト』?!」

『額当て、似合ってる』

「…あ、ありがとうってばよ」

頭をかきながら照れるナルト

『ごめんね、あんなに頑張ってたナルトに頑張ろう。なんて無神経だった』

「違うんだってばよ、俺ムシャクシャしちまって…ミツバ先生にあたっちまった。ごめん…」
「なぁミツバ先生…先生も知ってんだよな…オレの中の…その……」

だんだんと声の小さくなるナルトの頭に手を置く

「?!……センセ?」

『知ってたよ』

「みんな、オレを見るときあの目をするんだ、だけどミツバ先生はずっと違った。なんでだってばよ…?」

『それは…ナルトの頑張りとまっすぐなところを1番近くで見てきたから…かな』

「?!」

『生まれてきてくれて、ありがとね!』

震える肩
きっと泣いてるんだ

顔が見えないように優しく抱きしめる
ギュッと私の服を握るナルトの手は
まだ12歳の子どもなんだと思うには
十分な程震えていた

「ミツバ先生、ありがとうってばよ!!」

そう言っていつものように笑っていた

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