ことだま



チョウジくんの持ってきてくれたスイカも食べ、少しずつ夕日が沈んでいくビーチ
子どものいる私達は先に帰らせてもらう事にした

遊び疲れてイタチの背中でぐっすり眠るハズキの顔を見て
寝顔、パパにそっくり
と思いなんだか幸せな気分になった



「なんだ、ニヤニヤして」


『え!ニヤニヤしてた?!やだ、恥ずかしい、、』


「変なことでも考えてたんだろう」


『か、考えてないよ!失礼しちゃう!!』


こちらを見てフッと笑うイタチ
きっと私の顔は真っ赤なのだろう

何か話を逸らさねばと考えているとビーチでのある疑問が浮かび上がった


『ねぇイタチ』


「どうした?」


『イタチの初恋の人の話なんだけど、、、』


「あぁ、あれがどうした?」



『イタチの初恋の人ってもしかして、、、、わたし?』

全く確信があったわけではないがどうしても気になっていた


一瞬目を見開いたが直ぐに優しい笑顔に戻るイタチ




「フッ、やはりバレたか」


『やっぱそうだよね!!名前と歳しかしらない関係なんてそうそう無いもん!』


「そうだな」


『それより!本当に私が初恋だったの?!どこに惹かれたの?!ねぇ!ねぇ!』


「さっきも言っただろう、一目惚れだったと。オレだって恥ずかしいんだ、何度も言わせるな」


顔は下を向いていて見えないが珍しく耳まで赤くなるイタチ
普段見せない表情のためとても可愛らしく感じる


『ねー!教えてよー!イタチー!』


「そうだな、ミツバの初恋を教えてくれたら教えてやってもいい」

聞かずとも知っているが


『えー!それはまた別の機会にね!』


口を尖らせてオレの数歩前を歩くミツバ
振り返る度にコロコロと変わる表情はいつまで見ていても飽きそうにない

初恋は実らないとよく言われるが
オレは運が良かったのか
初恋を実らせる事ができた
交際、結婚、子どもまで授かる事ができた
よく考えたらこんなに幸せな事はないな
たまにはこんな気持ちをストレートに伝えるのもいいかもしれない




「ミツバ、オレの初恋を実らせてくれてありがとう。ハズキに会わせてくれてありがとう。愛してる」



『きゅ、急になに、、!イタチどうしたの?!』


顔を真っ赤にして慌てるミツバ
愛おしさが湧いてくる、今すぐ抱きしめてやりたい


言葉にしなくても分かり合える関係
というのをよく耳にするが
言わなければ伝わらない事の方が多い
言葉のない、会話のない関係より
お喋りの絶えない暖かい家族になろう




ミツバとハズキの笑顔を絶やさないように

ことだま


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