思い出の3ページ




『へっくしゅん!』


あー、さむーい
やっぱ朝は寒いー
上着もないし寒さ倍増だ

昨日修行ができなかった分今日は少し早めに修行場に向かった
するとクナイや手裏剣がぶつかる金属音が聞こえた


誰か、いる?


遠くからそーっと覗いてみると男の人と男の子が二人
あの的めがけて手裏剣を投げていた


『あの人達が、あの的で練習してたんだ』


しばらく様子を見ていると男の人が男の子こに教えているようだ
だが男の子もなかなか筋がいい

男の人の動きは無駄がなく見入ってしまった


すると視界から姿が消えてしまった
男の子も慌てて探している



『どこに行ったんだろう……』



「オレのことか?」




『?!?!』

振り向くとそこには十数メートル先で修行をしていた男の人が立っていた


『え?!さっきあそこに!それより気づいてたんですか?』


「あんなに見られて気づかない方がおかしいだろ?」


『はぁ、すいません、、』
バレていたのか、恥ずかしくなって下を向く


「いや、それはいいんだが、、この上着はもしかして、君のだろうか?」


スッと差し出されたそれは
昨日この男の人にかけた私の上着だ


『そう、ですけど、、』


「そうか、ありがとう。おかげで風邪を引かずにすんだ」


『いえ、こちらこそありがとうございます』
綺麗に洗濯され畳まれた上着を受け取る
なんだか前より綺麗になった気がする


「よかった、早めに返すことができて。明日からさらに冷えると言っていたからな」


『あ、なんかすいません、勝手に私がした事なのに気を使わせてしまって』


「ん?何がだ?」

凄いこの人、今の気の利いた言葉は無意識に出たとでも言うのであろうか
私の謝罪に対して頭の上にハテナを浮かべる男の人


「じゃあ、弟が探してるようだから行くよ」


『あ、はい!じゃあ』

ニコっと笑って瞬身で元いた場所に戻った彼
耳を澄ませば微かながら喋り声が聞こえる


「兄さん!どこ行ってたんだよ!!」

「すまないサスケ、ちょっとうさぎを見つけたものでな」

「うさぎー?!オレがどれだけ探したと」


うさぎ、か、、、



弟と思われる男の子とやり取りを続ける男の人をもう一度見ると
彼がこちらを見ているような気がして急いでその場を去った


私がイタチと喋ったのはこの日が初めてだった




あれから数日、なぜかあの修行場には行きづらくなり前使っていた第三演習場を使うようになっていた

しかし、ここでは出来る修行に限界がある。そしてなによりあの的当てを自分もやってみたいという気持ちがどんどん大きくなっていた


時間をずらせば会わずに済むだろうと
久しぶりにあの修行場に足を運んでみる
周りを見渡すが人の気配はない
今は夕方、あの人達は朝方に修行するのだろう


安心して的当てに挑戦してみるがなかなかうまくいかない
私も上忍、ある程度は当てることができるのだが
どうしても当たらない的がある


『はぁ、何で当たんないのー!!』


「もっと左を狙えばいい」


『?!?!』


「また会ったな」


そこにはあの男の人が微笑みながら立っていた



思い出の3ページ



『どうしてここに?!』


「ん?オレがここに来てはいけない理由があるのか?」


『いや、、!そーいう意味では、、』


「ハハハ、すまない。少し意地悪を言いすぎたな」


『はぁ、、、』
この人、こんな風に笑うんだ


「よければオレが教えるが?」


『え?』


「的に当てる方法」


『え、いいんですか、、?』


「ああ、構わない」


そう言ってクナイを持って飛び上がり次々と的に命中させていく


『す、すごい、、、』


「そんなに感動してもらえるとはな」


『すごいです!どうやるんですか?!』


「すぐできるようになるさ」


私は手裏剣術やクナイはどちらかというと苦手な方だが
途中で投げ出したりせずに熱心に教えてくれた


「だいぶ曲がるようになったな、今日はこの辺にしよう」


『はい!本当にありがとうございます!!』


「そんなに感謝されるようなことじゃないさ」


『いえ!凄く楽しかったです!あの!お名前を教えてもらってもいいですか?!』


「うちはイタチだ」


『え!うちはってあのうちは一族の?!』


「大げさだな、君の名前も聞いても構わないか?」


『私は、風賀ミツバです!!』


「ミツバさんか、また会えるといいな」


『はい!今日はありがとうございました!!』


じゃあ、と言って消えるイタチさん
特に次会う約束はしなかったが何故だかこの人とは次も会える気がした



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