「に、兄さん、、、」




見上げると顔面蒼白なサスケ





「何ぼーっとしている、早くそこをどけ。死にたくなければな」


未だ笑顔を崩さずサスケに圧力をかける隊長


ゆっくりと体を持ち上げるサスケ
やっとサスケの体重から解放され開放感が全身を巡る
体を起こすが何だこの張り詰めた空気は
きっと隊長から見たさっきまでの状況はこうだ

サスケに今にも襲われそうな私

なんか前にもこんなことあったぁぁ！
逆パターンだけどあったぁぁ！
どうにか回避せねば



『も、もーサスケったら冗談が上手くなったなー！姉さん困っちゃうよー！はははー！』




相手のいない喧嘩はできぬ





「・・・・。」


「・・・・。」



ええええ、何この空気おっも！！
何？何？何？！何でこうなった？！

一人で大量の冷や汗を流しているとイタチが沈黙を破った


「ミツバに部屋の準備ができたと伝えに来たのが母さんじゃなくてよかったな。サスケ、何の冗談かは知らんが何をしていた」


「……一緒に修行した千鳥流しを見せようとしたらあーなった」


「ほぅ、嘘もまともにつけなくなったか」


「嘘じゃねぇよ！」


「もっと別の修行でもしてもらおうとしてたんじゃないのか？」


「なっ…！！何言ってるんだよ兄さん！！」


『ちょっと！隊長お言葉ですけど、その言い方は酷いんじゃないですか？！』


「ミツバもサスケの肩を持つか、別の修行というのもあながち嘘ではないんじゃないか」


なんてひねくれてんだこいつ！！


『酷い！実の弟と長年の部下の言うこと一つも信じようとしないんですね！！』


「ではあの状況をどう説明するんだ」


『だからさっきから説明しようとしてるのに隊長が聞こうとしないんじゃないですか！！』


「ああ、全て言い訳にしか聞こえんからな」



『そうですか、、、じゃあ、もう結構です。サスケ、ごめんね迷惑かけて。私今日はもう帰るね。お母さんに謝っといて、お邪魔しました」


わからず屋の脳内変態長がこちらを見ているが知るか！一刻も早くうちは家を出ようとしたとき



「おいミツバ！待てって！」


玄関まで追ってきたサスケ


『ごめんねサスケ、兄弟げんかさせちゃって』



「オレはいい、後でちゃんと話つけとく。ミツバはいいのか？このままで」



『今は何言ったって聞いてもらえない気がするからいいや。ありがとうサスケ！』


「そうか、オレからも言っておく。安心しろ」


ポンと頭に掌をのせるサスケ


『もー！年下のくせに！生意気ー！』

いたずらっぽく言うと


「おまえがそんな顔してるからだろ」


心配そうな顔で返される始末


『………。』


じーっと見ていると
なーんか、今日のサスケかっこよく見える
なんて危ないことを考えたり


「……っ、おい、見過ぎだ」


『今日のサスケかっこいいね！！』

あ、言ってしまった


「なっ…………！！」

あ、固まってしまった


『とりあえずっ！可愛い可愛い私の弟子よ！本当に今日はありがとっ！』


「あ、あぁ。家に帰るのか？送る」


『んー、大丈夫！ちゃんと隊長と仲直りしときなさい！ありがとね！』





そう言ってうちは家を出たものの

『はぁ〜』

どうしよう、野宿するなら家に帰って灼熱地獄で寝た方がマシだしなぁ
ちょっとフラフラしながら帰るか


夜の公園で一人ブランコを漕ぎながら考えた
隊長と小さな喧嘩は毎日のようにするけど
今日みたいな喧嘩は初めてかもしれない
あそこまで脳内が変態まみれだとは思ってなかった
私は絶対に謝らん！！！
だって悪くないも〜ん
と履いていた履物をブランコの勢いと共に飛ばす


『結構飛んだ！流石私！！』


もう片方の履物も飛ばしてみると
さっきより緩やかなアーチを描き高く飛ぶ


『おっ！新記録か！！』


ーゴンッ


『ん？』

綺麗なアーチを目で追っていると何かにぶつかり不時着する履物
公園の街灯に頼り目を凝らしてよーく見てみると


『え…？！人？！ぎゃあああ！ごめんなさい！大丈夫ですか？！』


慌てて駆け寄ろうとするが

『……っ！！』

両足裸足のため途中で何かを踏んで足の裏を切ってしまった
でもそんなこと言ってられない
どちら様か知らないが人様の頭上に私の汚ったない履物を落としてしまったことを謝らねば！！


『す、すいません！人がいるなんて思ってなくて！！大丈夫でしたか？！』


深々と謝り頭を上げる
するとそこには





『げ、隊長……』


隊長が立っていた