20th





そういえば、罰ゲームの締め切り日が次の日曜だということは存じていたけれど、何故日曜なのかが少々引っかかった。


「あの……え、もしかして土日も学校に来なきゃなんないの……?」


「え、うん」


「勿論」


私の至極真っ当な質問に何それ今更みたいな顔で答えるのは、今日の朝の罰ゲームターゲット菊丸君と不二君だった。


「……そっか」


「あ、イヤだった?」


眉を下げてやや申し訳なさそうに言う菊丸君に「う、ううん大丈夫」なんて答えてしまった辺りかなり毒されているなあという気がする。
いやまあ、元々NOとは言えない性格だったけど……。


「じゃ、じゃあ……い、いい?」


「心の準備は出来てるよん」


「いつでもどうぞ」


せー……のっと、私は目を閉じつつ勢いをつけて2人の頭にチョップをかました。



………………



罰ゲーム後の第2戦ババ抜きををしながら彼らは、ぽつりぽつりと語ってくれた。
なんと、マイフレンズの罰ゲーム内容を決める会議……実は途中から2人も参加していた、と。


「あー……」


なる……どうりで罰ゲームのバリエーションが豊富な筈だよ。
この2人ならそういうのポンポン浮かびそうだしなあ。


「でもいつのまに……?」


「前やった罰ゲームでボクらとデートした日があったでしょ、その日にね……」


不二君は説明した。

あの日、不二君菊丸君のアドレスをゲットし、それを「悪用しない」という約束の下友人らに横流しした私。
その後友人らは、彼らにメールを送ったらしい。


「……え?どんな?」


「まず件名に“罰ゲーム主催者です”って。そんなの書いてあったら開かないワケにはいかないでしょ?で、メールの内容見てみたら、罰ゲームにあたふたする山川さんが面白くてついボクらを巻き込んでしまった、ごめんなさい、って」


「………………」


お、面白…………いや、いいや、そこを問い詰めるのは後にしよう。
でも、謝罪メールなんて送ってたんだ……一応悪いとは思ってたんだね、テニス部の人たちに。

そして続けて、菊丸君も口を開く。


「んで、山川ちゃんが面白いのは俺たちも思ってたことだしさ、」


「………………」


「混ぜてもらおうよって。2人で話し合って」


「………………」


うん……そう、この2人は本当に私をおちょくるためだけにマイフレンズと手を組んだんだね
いやなんとなく分かってはいたけど、酷いや。


「でもさ〜、山川ちゃんってホントビックリするくらいトランプとか弱いよにゃ!」


「うんうん」


そこは笑って話す話題じゃないですよ、お2人さん……。


「はい、あーがり!」


「……ううぅ」


最後の札を山に捨てる菊丸君と、既にあがっていて悠々と笑顔を浮かべている不二君と、ジョーカーを握っている私。


「はいっ、クジ引いて!」


最早私が引くことが定例化してしまっている罰ゲームクジ箱に、これもいつもの如く私はビクビクしながら手を伸ばした。



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