6th





……あれ(告白)から数日。

私は相変わらず理不尽な罰ゲームを受け続け、すっかり罰ゲームターゲットの一員となってしまった手塚君を加えたテニス部3人に何回「スミマセン」と言ったか知れない……そんな日々を過ごしている。


…………
やだよそんな日々!


「ねえ、やっぱり罰ゲームは単独で出来るモノの方がよくない?誰かに何かするんじゃなくってさ」


ある日の朝、ホームルーム前の時間を使っていつもの友達仲間でゲームをしている途中。
今日こそビリから逃れられるかと思ったものの、少々雲行きが怪しくなってきたのでそんな提案をしてみた。

しかし案の定、「何まだ終わってない内から弱気な発言してんの」とか「ゲーム音痴の紅葉のために今日はスゴロクにしといてあげたのに」とか「そんなこと言って実はまんざらでもないんでしょー、罰ゲーム」とか言われまくって、結局聞き入れてはくれなかった……。


ていうか、ね。


「……みんな、私で遊んでるでしょ?」


常日頃からそう思っているので告白してみた。

……そしたら、みんな一斉に顔を背けやがった。おいコラ。



………………



「いやいや、きっと遊んでるってだけじゃないよん!」


今回の罰ゲーム「不二君とポッキーゲーム(寸止め)」を終わらせ、今朝のやりとりを見ていたらしい不二君がその話を切り出し、まだ心臓バクバクいってる私に菊丸君はそう言った。


「……うん……そだね、そうであって欲しいって、何度願ったことか」


「や、山川ちゃんてばなんでそんな後ろ向きなのさ?もっとポジティブに考えよ、ポジティブに!えっと、例えば……」


うーん……と考え込んでなかなか例えを出さない菊丸君に助け舟を出すかのように、不二君は言った。


「例えばホラ、山川さんって人見知りするタイプでしょ?それを克服させるためにやってるんじゃないかな」


「おおっ、それだ!」


まるで自分の手柄かのように得意顔で指を指す菊丸君は、こう続けた。


「そうだよ、あの子たちは山川ちゃんの対人恐怖症を治すためにやってるに違いない!」


「対人恐怖症は言い過ぎ……ていうか、それはゼッタイにない」


いや、まあ……多少はそういう意図もあるのかもしれないけれど。

さっきの罰ゲームのせいでまだ不二君の顔を見れない私を不二君はニヤニヤ顔で見つめながら(なんの羞恥プレイだ)、別の例を挙げる。


「もしくは、男子テニス部に好きな人がいて、お近づきになりたかったとか?」


……うわあ、有り得そうでコワいそれ。


「えー、でもそれじゃあ遠回りすぎにゃい?」


否定する菊丸君だが、多分否定しきれないんだと思う。「うーん、うーん」と考え込んだ。

まあね、テニス部人気だしね……ぶっちゃけマイフレンズもテニス部ファンらしいし。


「……私って、もしかしたら、ずっとこのままみんなのオモチャとして罰ゲームやり続けなきゃなんないのかな……はあ」


「……山川ちゃん今日はやけに暗いね〜」


これ以上考えたくなくて机に突っ伏した私を、菊丸君は「よしよし」と、とりあえずな感じに撫ではじめた。


不二君がこんなことを言った。


「んー……ずっと、ってことはないんじゃないかな?」


「……なんで?」


「罰ゲームつきの遊びって、前からやってたんじゃなくて最近始めたんでしょ?飽きたらしなくなるよ、きっと」


「………………」


そっかな……そうだといいけど。


ゲームよさっさと廃れてしまえと心の底から願いながら、私はこの間菊丸君が(悪ノリで)作った結果報告書に細々した字で書き込んだのだった。



←前 次→

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -