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密やかに主張






マルコさん…。今日もかっこいい。穏やかな笑顔に優しい瞳。それは私の恋人だからそう見えるとかじゃなくて、きっと誰が見てもそう思う、と思う。
マルコさんは私の恋人。でもそれは周りには秘密。別に船内での恋愛は禁止じゃないけど、狭い中で恋愛をするとバレた時に恥ずかしいじゃない。前にこの事をマルコさんに言ったら「お前そんなこと気にするのかよい」って呆れられちゃった。マルコさんは平気なのかな?

それに私はクルーの中でも下っ端だし。


でもね、秘密の関係って嫌いじゃないの。アバンチュールな恋愛ってやっぱり燃えると思う。

夜、見つからないようにマルコさんの部屋を訪ねたり、彼が見張り番の時こっそり差し入れしたり。皆に隠れてキスしたり…。これはこれで幸せなんだ。




「あ、マルコさん」

「おー、aaa。洗濯終わったのかい?」

「はい!キレイさっぱり!」

「よく頑張るねい。洗濯の量ハンパじゃねェだろい」

「そんなことないですよ!それにこれが私の仕事です」

「…ってもなァ。お前は召使いじゃねェんだ」

「ん?」
「隊員の頼みでもイヤなことは断っていいんだぞ?」



もしかして、マルコさん気付いてるのかな?



「マルコさん…気付いてるんですか?」

「当たり前だよい。おれを誰だと思ってるんだい。aaa、野郎のマッサージとか添い寝とか、そんなんお前の管轄外だ」

「でも…断れなくって」

「なんならおれが言ってやろうか?」

「え!だ、大丈夫です!」

「どうだかねい」




こんなふうにマルコさんは私を大切にしてくれる。たまに甘やかしすぎじゃ…って思う時もあるけど。でもそんなマルコさんが大好き!











「え!だ、大丈夫です!」



そうやって笑っていうけど、絶対ェこいつ断れねェだろい。aaaはバカがつくほどのお人好しだからねェ。そんなとこも好きだが、おれはそれがたまに心配でならねェよい。野郎のマッサージでも内心ハラハラなのに添い寝だなんて冗談じゃねェ。
だからさっさと付き合ってることカミングアウトしちまえばいいのによ。




「マルコさん?」

「あ、あァ」

「何か考え事でも?」

「…いや」

「んー?」

「…お前が心配で仕方ねェって考えてたとこだよい」

「心配って?」

「なァ、aaa」

「はい?」

「カミングアウトしねェかい?」

「え!?」



え、っってそんなに驚くことじゃねェだろい。




「やーです」

「なんで」

「まだこの秘密の関係を楽しみたいからです!」

「…はァー…」

「あ、ため息!」

「だったらお前はもう少し警戒心をもってくれ」

「了解です!」



ニッと歯を見せて笑いながら敬礼して見せてくるが…きっと半分もわかってねェんだろうな。
まだまだ続きそうな秘密の関係に半分の不安と、半分の楽しみを想像してまたため息をついた。



「お、マルコ!aaa!」



そんなとき、名前を呼ばれたから視線をaaaから声の主の方へ向ければ、サッチとエース、イゾウにハルタ。その他もろもろがそこにいた。



「なんだい」

「いまからおやつ食べに行くんだけど、お前らも来いよー!」

「大勢の方が楽しいし!」

「…だとよい。どうする?」

「ぜひ!」

「というわけだ。おれらも行くよい」

「っしゃあ。じゃ行くか!」



相変わらずエースは食べ物のことばっかだよい。
隊長クラスの野郎共が列をなして練り歩く姿は何とも言えない。

おれは少し後ろからそれについて行くと、aaaが視界の端に映った。それとなく呼び寄せると嬉しそうに近づいて来る。



「aaa、手…出せ」

「んふふ…はい、」



おれたちはまだ秘密の関係。バレないように、バレないように。みんなから見えない位置でそっと手をつなぐ。絡めた指はその温かさで密やかに存在を主張していた。




密やかに主張





 
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