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白い君

「大丈夫かい」
「だいじょ、ぶ、です…」


長年海賊をやってきたというのに相変わらずコイツは華奢なままで、ずっと日にさらされているのに肌は驚くほど白い。野郎どもばかり、頑丈なやつらしかいねェから時々忘れそうになる。普通の人間なら季節の変わり目には体調を崩しやすくなるし、鉛玉食らえば最悪死ぬことだってある。だがおれらはよっぽどのことがない限りナースのとこにはいかねェし、そもそも風邪も引かなければ怪我するのも稀だ。
でもみさきは違う。海賊船になんか乗っちゃあいるが普通の女だ。具合も悪くなるしよく怪我もする。他の女と比べてもその頻度は高いだろう。言ってしまえば少し体が弱い。


「つらかったら遠慮するなよい」
「でも、そうしたらマルコさんがつらくなっちゃうでしょ…?」
「…それを遠慮って言うんだよい」


みさきが先日風邪を引いた。最初こそ軽いものだったが、どうやらこじらせたようでしばらく床から起き上がれなかったほどだ。それがようやく治ったのでこうして肌を重ねているのだが、どうにもみさきの体が心配でしかたない。なら我慢しろよという話なのだが、そこはおれも男なんで許してもらいたい。


「あっ、はぁ…」


緩く腰を動かせば彼女の口からは艶めかしい吐息交じりの声が零れた。その声が耳から入って脳へと伝えば、激しく突き上げたい衝動に駆られてしまう。だが病み上がりなところを無理させてしているのならせめておれも我慢すべきである。


「苦しくねェか?」
「…そんなに心配しないで…っ」


心配するなと言われても。というかせっかく抑えているのにそういうことは言わないでいただきたい。


「マルコさん…っ」
「…ん?」
「お願い…、もっと…」


もっと、なんだというのだ。いやわかっている。わかっているが、本当にいいのだろうか。なにせみさきはまだ病み上がりで食欲もないから体力も落ちていて…。


「もっと、二人で気持ちよくなりたいの…っ。だめ…?」
「…お前」


バカな女だよ、と心の中でつぶやく。せっかくこっちが優しく優しくと思っていたのに。これじゃあとても手加減なんてしてやれなくなるじゃないか。


「…後悔するなよ」
「…しないもん、マルコさんなら…」


ああ、もうだめだ。ここまで言われてしまったらとても我慢なんてできない。
緩く動かしていた腰を一変して強く打ち込めばより艶のある声があがった。心地よい音を全身で反芻しながらあいてる手を敏感な芽に持ってきて上下に擦ってやればあとはもう鳴くだけ。


「やっ、あっ」
「…は、ぁ」
「あ、あ、マ、ルコさん…!わたし…っ」


おそらく絶頂が近いのだろう。熱を帯びたみさきの中が細かく伸縮を繰り返してきつく締め付けてくる。ぞくりとするほどの快感に逆らうことなくみさきを攻め立てれば細い腰を震わせて絶頂を迎えた。そして自分も高みへのぼるため数度打ち付けてから薄い避妊具の中へ欲を吐き出した。

呼吸を落ちつけたあと中からソレをずるりと抜き出すと、その刺激にも反応を示すみさきが愛らしい。当の本人はまだ息が整わないのか肩で呼吸している。


「ん…マルコさん…」
「汗かいてる」
「…ありがとう」


手近にあったタオルをつかみ汗ばむ彼女の体を拭く。そのとき、窓から差し込む月明かりに照らされて光る汗さえ綺麗だと思うおれは少しおかしいのかもしれない。


「マルコさん、怒ってる…?」
「なに言ってんだい。怒るようなとこなんてなかっただろい」
「だって…」


もごもごと小さく呟かれては聞こえない。この控えめというか大人しいところに好感は持てるがなにもそこまで遠慮することはないと思う。


「マルコさん、私のこと気遣ってくれてたのに…わがまま言っちゃって」
「…あァ」


もっと、と強請ってきた時のことか。おれからすれば嬉しいことだったのだが彼女はわがままだと感じたらしい。まったく、どっちが気を遣ってるんだか。


「それを言ったらおれだってお前が病み上がりなとこ無理に…」
「そ、それは違うの…!」
「…なにが」
「だから、その、ね。私も…したかったから…」


よっぽど恥ずかしいのか暗くてもわかるくらい顔を真っ赤にしている。そんなとこも可愛らしい。



「そんなに恥ずかしがるなって」
「恥ずかしいに決まってるでしょ…!」


ついには背をむけられてしまった。そんな小さな抵抗を見せたって赤い耳は丸見えなんだがな。だけどそれを言ってしまったら今度は自室に帰ってしまうかもしれないのであえて言わないことにする。

足元の方で丸くなってしまった掛け布団を引っ張ってみさきを背中から抱き込む。やはりその背中は華奢で小さい。


「みさき、ありがとな」
「ううん…私こそ」


久々に彼女の体温を感じておれもみさきも穏やかな眠りについた。


Modoru Main Susumu
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