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約束

今日はお休みの日です。なぜって土曜日だから。そして私は猛烈に暇である。なぜって部活なんかやってないから。だがしかし、最近の私は暇ではなくなってきた。なぜって好きな人ができたから!
そういう理由でまったく学校に用のない土曜日だが、毎週せっせと通っている。



「バァァン!今週もやって来ましたおはようございまァァァす」

「帰りなさい」

「マルコ先生まさかの敬語のパターン」


最初の頃は「うわっなんでお前がここにいるんだよい」とか「気持ち悪いのが来た」とか言われていたのに今となっては上のようなやりとりしかしない。ひどい話でございます。


「先生ひどいですぅ。私がなんのために用もない学校に来てると思ってるんですか!」

「知らね」

「そう!愛しのマルコ先生に会うため!」

「……」

「…あれ?い、愛しのマルコ先生に会うため…!」

「……」

「い、愛しの」

「あーみさき。これゴミ箱に捨ててくれ」

「あ、はい」


無視か…。マルコ先生からぐしゃぐしゃに丸まった紙を受け取りとぼとぼとゴミ箱へ向かう。さて捨てようと思ったとき、紙に何が書かれているのか気になった。も、もしかしたらマルコ先生のハイパーきれいな字が書かれているのかも…!そうだったらコッソリ持って帰ろう。ということでワクワクしながら紙を伸ばしてみるが。


「……」


た、たしかにハイパーきれいな字がそこには書かれていた。そう“馬鹿は見る”と記されたそれが。いや…でもまぁマルコ先生のハイパーきれいな字には違いない。ちょっとモヤッとしたが黙ってポケットに入れといた。


「紙になんか書いてあったかい?」

「みさきちゃん愛してるって書いてありました」

「お前は脳も目も腐ってるんだな」

「…ひでぇ」


思えば私がマルコ先生にアタックをし始めてからずっとこんな感じである。つまりなんの進歩もみられない。いや、てもマルコ先生はツンデレだからもしかしたら心のなかでは真逆のことを思ってるのかも!

ぐぅ〜


「……」

「…なんだい、今の音は」

「…いや、私のお腹の音です」

「まだ9時だよい。朝ごはん食べてきてねェのか」

「そんなまさか!ガッツリ食べてきましたよ!朝から汁だくの牛丼!」

「…うわ」


あれ?引いた?今マルコ先生引きましたよね?や、やっぱり女の子が朝から牛丼ってヤバい!?ヒィー!こんなことなら言わなきゃよかった!


「おなか空いてんのかい」

「あ、はい!空きました!なにか食べに行きませんか?」

「…たとえば?」

「えーと…焼肉!」

「やり直し」

「え!」


や、やり直し?つまり焼肉はNG?気分じゃない?そうだよね…。マルコ先生とか焼肉行っても野菜ばっかり食べてそうだもんね。


「いいじゃないですか!行きましょうよ!」

「…まあそのうちにな」

「そのうちって?」

「10年後くらいかな」

「わお!まさかの年単位!その頃には絶対に気分変わってますよね」

「いやならこの件は白紙だ」

「10年後の8月また出会えるの信じて〜」

「焼肉のためにな」



10年後の私はもちろんこの学校から卒業していて、もしかしたら大企業に就職なんかしちゃってるかもしれない。日々忙しい中で無茶苦茶な高校生活をチラッと思い出したりなんかしてさ。
ちょっと大げさな未来予想図だけど、可能性がないわけじゃないよね。だからこんな子供だましな約束が嬉しい。


「先生、10年後の焼肉が楽しみですね!」

「そうだな」


Modoru Main Susumu
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