250,000hit Thanks

雨の日の過ごし方

「…」

「ふんふふ〜ん。今日は雨の日、らんらら〜ん。砂鰐がヘタレになる日〜」

「おい、その不愉快なうた歌うのやめろ音痴」

「ケッ、図星つかれてやつあたりか?今の私は鰐なんかちっとも怖くねーぜ!」

「黙れ」

そう、今日は珍しく雨なんか降っている。おかげでクロコダイルの機嫌は朝から最悪。ちなみに湿気がひどいせいで私の寝起きの髪の毛は最強にヤバいことになっていた。それをクロコダイルに鼻で笑われ、私の機嫌も最悪だ。つまり二人揃って機嫌が悪い。


「クロコダイル、そこのティッシュとって」

「おれに命令すんじゃねェ」

「あと2秒以内で頼む」

「無駄遣いすんじゃねーぞ」

「ケチ鰐か、情けない」

「節約と言え」

「指にダイヤの指輪嵌めてるやつがよく言うよ。笑わせんな」

「笑ってねェだろ」

「うるせェな、上げ足とんなめんどくせー」

「やつあたりにも程があるなクソが」


はーい、ケチ鰐の言うことなんかシカト決定。アイツなんか空気と同じ、酸素の中に埋もれている塵だカスだ。


「…何してやがる。無駄遣いすんなっつったろ」

「無駄じゃない!」

「なら聞くが、それはなんだ」

「てるてる坊主に決まってんじゃん。アンタの目腐ってんじゃないの?」

「ふざけんな。なんでてるてる坊主がそんなに目つき悪いんだ」

「タイトル、ワニ坊主」

「しね」

「いやいや、お宅がしんでください」


どうだ見ろよ、このクオリティの高さ!目つきの悪さに加えて真横に引かれた傷のような線、下がった眉。そっくりだろ。え、誰にって?機嫌の悪さを微塵も隠そうとしない目の前の男に。


「ワニ坊主なんて初めて作ったけど、なかなかうまく作れてるんじゃないの?誰がどう見てもクロコダイルにしかみえないよ」

「おれはこんなに不愉快になったことはねェぞ」

「この傷がさァ、真横に綺麗に引くのが大変だったんだよ!」

「話を聞け」

「でもあとは結構簡単だった。クロコダイルって案外単純なパーツで形成されてるんじゃないの?」

「話聞けって言ってんだろーが」


だって話なんて聞くまでもねーし。どうせ聞いたって「てめェの腐り果てた腕でここまで作れた根性は認めるが、これは気に入らねェ。サーブルス」なんてことになるに決まってる!そんなの断固阻止に決まってんだろうがァァァ!


「クソ鰐が」

「てめェ…!お前の顔なんざ点と横線だけで完成できる。おれより単純なパーツだな」

「ふっふざけんなし!私の顔はガラス細工よりも繊細なんだぞ!」

「ハッ、どうだかな」

「七日七晩作り込んだって完成しねーよ!」

「逆にきもちわるい」


ええい!この恩知らずめ!なんで器用でもない私がてるてる坊主なんか作ろうと思ったのかデリカシーのない鰐なんかにわかるものか!絶対いつか仕返ししてやる。…って何やってんの?


「なにやってんの」

「見りゃわかんだろ」

「それてるてる坊主だよね?」

「わかってんなら聞くな」

「クロコダイル気持ちわるい」

「そんなに枯れ果てたいか、そうなのか」


ふつうに考えて気持ち悪いだろ。クロコダイルがてるてる坊主とか。なんの前触れだよお前…。っていうか左手がアレなくせに私よりも迅速に綺麗に作れてるとか悪夢だろ。


「これだから脳の足りん猿は」

「ねぇ、猿ってなに、私のこと?ぶっ殺すぞ」

「雨が降ってるとお前の機嫌が悪くなるからわざわざ作ってやってんだろうが」

「は?」

「頭も痛くなるみてーだしな」


ちょっと待て。それはなんだ?つまりこの七武海の鰐が可愛らしくてるてる坊主作ってんのは私のためか?そういうことなのか?


「クロコダイル…」

「あ?」

「きもちわるい」

「くたばれ猿が」







Modoru Main Susumu
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -