むしろその逆
「次はこれを頼む」
『了解です』
なぜこんな状況になっているのでしょうか。
いつも通りにハンジさんの元へと向かうとエルヴィン団長の元へ行けと指示をされ、エルヴィン団長の元へと向かうと
「今日から五日間リヴァイの補佐をしてくれ。できるだろナマエ」
とニッコリ微笑まれながら言われてしまった。もちろん団長の命令なのだから従うしかなくて、五日間も兵長の側にいれるのは嬉しいけれど……兵長とそんなにも一緒にいたこともなければ、そもそも普段から恥ずかしくて兵長とまともに喋れないし、むしろ失礼な態度をとってしまう。
大丈夫かな…でも嫌だとしても団長からの命令は絶対だから逃げ出すことはできない。
兵長の執務室に行き、兵長に挨拶をすると兵長から頼りにしていると言われて嬉しくなってにやけてしまいそうになったけれど、我慢してその感情を心に中だけにする。
案の定、恥ずかしくて必要以上の会話なんかできないし、返事なんてそっけなくしかできない。こんな自分が本当に嫌だ。
だけど、執務中の兵長を見るのは初めてで、その真剣な眼差しとか時々つくタメ息とか全てが新鮮でドキドキしてしまう。
だめだ。兵長を盗み見している場合じゃない。兵長の期待にこたえなくちゃ。と書類と向き合う。
「ナマエ」
『なんでしょうか』
「今日はそれでおしまいだ。」
『了解です、お疲れ様です』
執務室を出ようとした瞬間、兵長に呼び止められた。
私なにかしたかな…!
『…なんでしょうか』
「ナマエ。俺のこと嫌いなのは知ってるが残りも頼む。」
『…いま、なんと』
「何度も言わせるな」
『…わかりました』
扉を閉めて、廊下でたちどまる。
兵長…さっき、私が兵長を嫌ってるって言ったよね…!
ハンジさん…!モブリット…!
心の中で二人の名前を叫んだ。