ポケットの小瓶
「モブリットさん!ナマエさん!おはようございます!」
「おはよう」
『おはよう』
笑顔で敬礼してくるアルミンが可愛く思えた。
私もこんな風に兵長に挨拶できたらいいのになあ。
『ねーモブリット。』
「どうした?」
『私にもあんな頃あったかな』
「…あった、はず」
『その間はなに。しかもはずって酷くない?…いや事実だから仕方がないんだけどさ』
「まあ、でもナマエはそのままでいいんじゃない?」
『ダメだから悩んでるんじゃん!』
「無理しても、辛いだけだよ」
まーそうなんだけど。
無理をして振る舞ってもそれは決して私ではないし、だからってこんなにも兵長に向かって素直になれない自分もいや。
ポケットに入っている小瓶に意識がいく。
…いや、ないない。怖くて飲めない。
団長室の扉をあけると、まさかの兵長がいてドキッとして一瞬固まっていると、モブリットが肘でつついてきた。
『…団長、こちらハンジさんからです。許可がほしいそうです。』
「今日は珍しく夫婦で来たのか」
『夫婦じゃないと何度言えばわかるのですか』
団長はなぜにか私とモブリットを夫婦として扱う。夫婦じゃないし、ていうかそれを兵長の前で言わないでほしい…!
横目で兵長の方を見てもいつもの無表情で思想を伺う事はできず、団長に視線を戻す。
「ふむ…。ここの辺りが曖昧だな。ここを詳しく書いてきてくれないと許可は出せない。そうハンジに伝えてくれ」
『了解です』
「では、失礼します。」
会釈をし、モブリットと共に団長室をでる。
『…団長、なぐる』
「兵長いるからって緊張しすぎ」
『だって!いると思わないじゃん!』
そもそもなんで私とモブリットが夫婦扱いなのか。以前理由を聞くと団長はしれっと答えた。
「普段ニコリとしないナマエがモブリットとなら笑っていていたり、じゃれあっていたりするんだからそう思うだろう。」
いや、確かに私はモブリットと普通に接せれる。だって同郷で調査兵団に入る前から知っている。
そもそもモブリットは私が小さい頃から私を知っていて、つまり幼なじみのお兄ちゃんなのだ。バーナー家とは家族ぐるみの付き合いだし、もはや家族同然なのだから普通に接せれる。
『…もうやだ』
「ハンジさんが作った薬のむ?」
『それは恐いから嫌だ…もう、お嫁にいけなかった嫁に貰ってモブリット…』
モブリットは笑った。
きっとまた紅茶をいれて慰めてくれるだろう。
さて、ハンジさんに書き直しをさせなくちゃ。