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素直になれなくて




『…おはようございます』

「…ああ」


素っ気ない挨拶だなと思う。
笑顔もむけれない。敬礼もできてない。
目線も合わせれずに小さな声でぼそりと呟くように兵長に向かって言ったおはようございます。
兵長も素っ気なく返事をしてくれる。いや、返事してくれるだけ嬉しいのかもしれない。



『ハンジさん…。』

「なに、まただめだったの?」

『兵長がいざ目の前に居たら…恥ずかしくなっちゃって……うう』

「ナマエは本当、リヴァイのことになるとだめだねぇ」

「ナマエ、これ飲む?」

『ありがとうモブリット…』


モブリットがいれてくれた紅茶を一口飲む。ほんのり甘くて、お砂糖入れてくれたんだなってわかった。貴重なお砂糖なのに私が落ち込んでるとモブリットはこうやって甘やかしてくれる。

モブリットを見るとなに食わぬ顔をしている。ハンジさんには内緒だからだ。


「ナマエは兵団内じゃクールビューティーとか言われてるのに、本当は恥ずかしがり屋さんの天の邪鬼だなんて知られたらナマエに憧れる子たち悲しむだろうね」

ハンジさんは愉快そうに話す。
そもそも私がなんでクールビューティーとか呼ばれてるのかと。ていうか憧れられてもこまる。

「本当は、リヴァイに片想いしてて、悩んでてこんなーに可愛いのにね!」

『…ハンジさんうるさい』

「本当のことだろう?」

『そうですけど…。』

「ナマエのこんな姿、私とモブリットしか知らないしね」


ハンジさんは私の純粋な想いで遊んでる気がしてならない。
モブリットに助けてと目線を送るとモブリットは顔を反らした。


「さーて今日はそんなナマエにプレゼントがあります!」

『…いらない』

「いや、せめて何だか聞いてくれよ!」


ハンジさんの作るものなんてどうせくだらないか怪しいものだ。
そんな物プレゼントされても困る。


「ジャーン!」

そう言いながらハンジさんは机の引き出しから小さな小瓶を取り出した。中には無色透明の液体が入っている。見るからに怪しい。


「これはね!素直になれる薬だよ!」

ふふん!とハンジさんは鼻息を荒くしてその小瓶を私に向ける。

『遠慮します』

「なんでー折角ナマエの為に作ったのに。ねぇ、モブリットー?」

「…まさかその薬を作る手伝いさせられてるとは思いませんでした」

「あれ?言わなかったけ?」

ハンジさんは人さし指で頬をポリポリとかいている。
ていうかそれ、

『本当に安全なんです?』

「…安全だよ?」

『じゃあなんで目を反らすんですか!』

「……まあ、飲む飲まないはナマエに任せるね」

そういってハンジさんは無理矢理私のポケットにその小瓶を押し込んだ。

「さ!モブリットとナマエはエルヴィンの所にこれを持っていってくれるかな」

渡された書類を受けとる。私一人で十分な枚数なのになんでモブリットと?

「エルヴィンから許可出たらこれにモブリットのサインをしてもらいたいんだ。私のサインはしてある。さ、頼んだよ、二人とも!」

『わかりました。モブリット行こう?』

モブリットは苦笑いしながら一緒に部屋をでた。



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