三時間目
冬休み。なんてつまらないんだ。
制服を着なくてもすむのは嬉しいけれど、リヴァイ先生に会えないもん。
両親は仕事でいないし、別に家に居たってやることもない。目的もなく駅前をぶらぶらして、冬休みだから人がごみごみしていてぶらぶらしてるだけで疲れる。
全国で展開されているカフェの窓際の椅子に座ってボーッ街行く人を眺める。
冬なのにアイスを頼んでしまう自分を殴りたい。
カフェの中は暖かくても、やっぱりこの時期に冷たいものは体が冷える。
カフェモカの入った容器を押さえながらストローでかき混ぜる。今日のカフェモカはよく混ざっていなくて舌触りがざらざらする。
こんな人混みみんなよく出掛けたくなるな。私だって本当は家でゴロゴロしていたい。でも最近の自宅は居心地がわるい。例え両親が仕事でいなくとも居心地がわるい。
『……あっ』
思わず声がでた。
まさかリヴァイ先生を見かけるだなんて思いもしなかった。街中でリヴァイ先生を見かけるのはこれで4回目。
でも、今日は今までと違う。隣に彼女さんがいない。
カフェモカの入った容器をつかんで私はカフェから走った。
『リヴァイせんせー!!』
息を少しながらリヴァイ先生の元に駆け寄ると、リヴァイ先生は目を見開いていた。
『リヴァイ先生、こんにちは』
「……ああ」
『先生の私服姿もいいね』
「ガキは帰れ」
『ガキって。それにまだ夕方にもなってないよ』
「俺は用があんだよ。」
『そっか。ごめんなさい……でもリヴァイ先生に会えてよかった。じゃあね、リヴァイ先生。』
「ああ、また……」
またなと言おうとした口を閉じたリヴァイ先生。眉間にはシワがよっている。険しい顔をしているリヴァイ先生の視線の先を追ってみると、そこにはリヴァイ先生の彼女さんが知らない男の人の腕に絡んで歩いてる姿だった。
『せんせ……?』
「チッ、クソが」
『…あれ、彼女さんだよね』
「元、な」
『え、別れたの』
「お前には関係ないだろ。はやく帰れ」
関係ない。帰れ。
その言葉がやたら心に突き刺さって痛かった、
でも、でも、
「帰れ」
『やだ。』
「居たってなにもなんねえだろ」
『だけど……そんな顔した先生見たら帰れないよ』