ベッドの中、ナマエはミケに抱き締められるように包まれてミケのぬくもりで睡魔に襲われている。
『ミケさんねむいよ…』
「寝ればいいだろ」
『やだ、あと15分がんばる』
あと15分すると日付が変わり、11月1日がやってくる。
11月1日はミケが生まれた日であり、ナマエは一番にお祝いの言葉を告げたかった。
告げる為に瞼を重たそうにして耐えているナマエが可愛くてミケはそれだけで満足してしまいそうになる。
『ミケさんがあったかいからいけないんだ』
「すぐ俺のせいにする。なら、一緒に寝るのやめるか?」
『いじわるぅ…っ』
ミケとナマエは笑いあう。
何気ないこの瞬間が一番幸せなのかもしれない。
壁の向こうのことさえ忘れてしまいそうになるほどに、ミケとナマエはお互いのぬくもりに愛を感じている。
『ねぇ、ミケさんってさ』
「ん、どうした」
『猫みたいな名前してるけど、犬みたいだよね。嗅覚いいし、すぐ舐めるし。』
「そうか?」
『あ、だけど猫は匂いをかいで物を確認するから結局猫でいいのかなミケさんは。顎下撫でたなら咽鳴る?』
「鳴るわけないだろ」
なにいってるんだナマエ、とミケはわざとらしくため息をついた。
それにナマエもわざとらしく頬を膨らました。
ふと、時計に目を向けると針が12時の数字を差そうとしていた。
『…ミケさん、生まれてきてくれてありがとう』
「ああ」
『出会ってくれてありがとう。私を好きになってくれてありがとう。ミケさんだいすき。』
心の奥からナマエはそう思った。
出会い、恋に落ち、その恋が実り、今ではなくてはならない程にミケが大切で、大好きで幸せだからだ。
「それは俺も同じだ」
ミケも同じだった。
こんなにも一人を好きになるとは思わなかった。
欲に任せて女を抱いた事だってあるし、好いてくれた女とお付き合いをしたこともあった。だけどナマエとはまさしく恋に落ちたのだ。
大切、とは。愛する、とは。まさかこの年齢になって痛感するとは思いもしなかった。
『来年も一番にお祝いさせてね』
「もちろんだ。お前に最初に祝って貰いたい」
『絶対だよ、約束』
「ふっ。ああ。」
『ミケさん、ごめん。限界。おやすみ』
「おやすみ。いい夢見るんだぞ」
ミケは自分の腕の中で眠りの世界へと落ちていくナマエを見届ける瞬間が堪らなく好きだ。ナマエに伝えたことはないが、すごく幸せな気持ちになれるから。
自分もそろそろ寝るかと、瞼を閉じる。
明日もまた、ナマエと一緒に寝れるようにと思いながら。
夢の中でもあなたに
20151101
happy birthday! mike!