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団長の意識がもどった。
リヴァイ兵長とハンジ分隊長の会話から聞こえて涙がでそうになった。

いち早く団長の元へいきたいけれど、私は団長との関係を公にしていなくて。そもそも私と団長はお付き合いをしていたのかと言われたら、はい!っと答えれなかった。

団長に会えたのは、団長の意識がもどったと聞こえた日から一週間がたった頃だった。毎日が長くて辛くて苦しかった。いざ会うと感情が溢れだしそうになったけど、他にも人がいるからぐっとこらえた。きっと団長にはばれちゃうんだろうけど。

ベッドの上で上半身を起こした団長と会話をする班長の後ろに立っていただけで言葉は交わさなかった。苦しい。目の前にいるのに、すごく団長が遠い。

班長とともに部屋出ようとした時だった。団長に名前を呼ばれたのだ。


「ナマエ」

「ナマエがどうかいたしましたか団長」

「ナマエちょっと残りなさい」

『はっ』


班長に何か粗相でもしたのかと耳打ちされた。早く班長、部屋をでて。



「ナマエ、もっと早く会いにきてくれてもよかっただろ」

『これでも無理矢理着いてきてんですよ…』

「ああ、そんな泣きそうな顔をしないでくれ」

『だって……!』

「ほら、おいで」


団長が太腿を二回叩いた。それはそこに座れと言う合図だ。よく、団長室の椅子の上で同じことをされていた。
でも、団長は怪我をされているわけでいつも通りにそこに座っていいのか悩んだ。立ち尽くしていると団長がまた二回叩いた。
おずおずとしながらベッドにあがり、団長の太腿を跨ぐように座る。


「会いたかった」

団長は左腕でぎゅうっと抱き締めてくれる。久しぶりに感じる団長の体温に心までぎゅうってしている。

顔をあげると、伸びた髭が目にはいり触る。ちくちくとしていて少し気持ちよい。


『私も、です。団長…よかった』

「もう、抱き締めているときにナマエのお尻を触れないのは寂しいな」

『……っ、』

「そんな顔をしないでくれよ。片手じゃナマエの涙をうまく拭えないんだから」


団長はエレン奪還で壁外へ行った際に腕をなくしてしまったのだ。でも、団長の命は今ここにある。私が触れている、ここにある。
ドクン、ドクン、と規則正しく音をたてている。この音を聞くのがすごくすきだ。私と団長はここにいて、聞いているとまるで私と団長がひとつに溶け合うような気がして。


「ナマエ、こんな俺でもこれからも側にいてくれるか」

『当たり前じゃないですか』

「面倒をかけるかもしれない」

『団長になら構いません』

「愛し合う時ナマエを満足させれないかもしれない」

『恥ずかしいこと聞かないでください…!』

「でも、大事なことだろう?」

『うう…そうですけど……そしたら私ががんばります……』

「頼もしい。期待してしまうな」

『例えばの話です!』

「ナマエ、愛している」

『……私も、あいして、ます……っ』

「だから泣かないでくれ」


団長は私の頭に唇を寄せる。
涙がとまらない。団長が愛おしくて苦しい。

このまま団長に溺れていたい。


団長、あなたの腕が片方なくなってしまったなら私があなたの腕のかわりになります。
私はあなたの側で、あなたのために、生きて、死ぬのです。



溺れる



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