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「いい匂いがするな」

『兵長と使ってるの同じなんですけどね』


お風呂上がり、ベッドの上でまだ乾き具合が足りてない髪の毛を一生懸命タオルで水分を拭き取っているとギシッという音とともにうなじあたりに温かい吐息を感じた。

会議から戻ってきた兵長が後ろから私を抱き締めて、顔をうなじに埋めている。

『兵長濡れちゃいますよ?』

「ほとんど乾いてるじゃねえか」

『でもー』

「いいから、こうさせてろ」

『えー。それは上官からの命令ですか』

「命令だと言ったら?」

『言ったら…セクハラです』

「じゃあ恋人からの願いだと言ったら」

『もちろん、構いませんよ』


今日の兵長さんはやたら甘えん坊だ。本人には言えないけれどすごく可愛い。可愛くてきゅんってする。
こんな兵長は私しか知らないし教えないし見せないし見せたくない。
だけど、私のお腹辺りを触っていた兵長の手がどんどん上にあがっているのはすごく可愛くない。


『兵長、めっ、です』

「犬扱いすんな」

『だーめです』

「いやか?」

『嫌じゃないですけど、明日の訓練がすごくすごく厳しい訓練なので遠慮です』

「命令だと言ってもか」

『上官命令ならセクハラですって』


諦めない兵長の手は胸を優しく触る。


『兵長、今日は甘えん坊さんですね』

「黙れ」

『ふふっ、そんな兵長もだいすきですよ』

「いいから黙れって」

『いやですって』



兵長の手が胸から離れた、と思ったら視界が揺れた。
兵長とともにベッドに倒れたみたいで、兵長は私の下敷きになるように私を抱き締めたまま離さない。


『兵長苦しくないんです?重くないです?』

「俺がそんなヤワなわけないだろ」

『さすが、兵士長』

「黙っていろ」

『いや、だからしませんって』


今日の兵長は甘えん坊で、どうしたんだろう。とかぼんやり考えていたら、いつのまにか兵長が私を見下ろしていて、え、動くの素早すぎない?兵長さん。

そして私にキスを降らす。
明日の訓練あるから嫌なんだよなあ、と思いつつ、甘えてくる兵長がどうしようもなく愛おしくて受け入れてしまう。だってどうしようもなく兵長のことがすきだから。




愛おしさが溢れる


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