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『へーちょお?』

ナマエが心配そうに俺の顔を覗きこんだ。
ここにシワ寄ってますよ、と眉間を触られた。

「どうかしたかナマエ」

『いや、どうかしたかは兵長のほうです』

「別にどうもしてはいないんだがな」


不服そうにナマエは俺をみている。
実際はどうもしていた。

いつからだろうか、よく喋り笑い、感情が分かりやすく、物怖じないというか怖いもの知らずというかそんなナマエを目で追うようになった。
最初はなぜこんな目で追ってしまうのかわからなくて、ある日突然クソメガネに「ナマエのこと見すぎだよ。なに惚れちゃった?まさかリヴァイ惚れちゃった?」と、茶化されていらついたらメガネかち割ろうとしたけど、図星のように見えるからやめた。

ああ、俺はナマエに惚れているのか、と気付いた。
それから何度夢の中にナマエがでてきただろうか。何度夢の中であの唇に触れただろか、何度あの無邪気に笑う顔を泣かせてよがらせただろうか。
年甲斐もなくそんな夢をみる自分がガキみてぇに思えた。


立場が上なのを利用してナマエを自分の班にいれた。それはもちろんナマエがそれなりの実力があるからだが、クソメガネに職権濫用と言われた時はまたメガネをかち割ろうとしたけど、やめた。事実だから。


そして今日も自分の執務室にナマエを呼び、紅茶を淹れてもらった。


「なあ、ナマエ」

『なんでしょうか兵長さん』

「なんだよ兵長さんって」

『なんとなくです!』

「そうか」


こんなくだらないやり取りが楽しく思えるから俺も末期だと思う。

「ナマエ………」

『何ですか兵長?』

「……お前は、俺のことすきか?」

『そりゃもちろんだいすきです!人類最強と云われて個人的にリスペクトしまくりのあの憧れのリヴァイ兵長の班に入りこうやって入れ、一緒に紅茶を飲めて身に余るおもいです!』

「……そうか」

やっとの思いで聞いた想いはただの尊敬や憧れだということで、やはり聞くのを躊躇ったままでいればよかったのかと思えた。

この想いはしまうのが1番なのかと冷めゆく紅茶を見つめながらまた一口のみこんだ。


まるでそれは冷めた紅茶のよう


俺は今、どんな顔をしているのだろうか。

end.


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