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「…ナマエおはよう。ぐっすり寝ていたから起こさなかったよ。」

『ごめんなさい、今起きます』

「謝ることはない。無理をさせてしまったのは私だからな。昨日のナマエはいつにもまして可愛かったよ」

耳元で艶っぽく言われて、昨晩の情事を思い出してぞくぞくとなにかが走る。

私はエルヴィン団長の恋人ではない。恋人ではないけど、団長と時々体を重ねる。
私は団長が好きだ。団長もそれを知っている。知っていて体を重ねる。団長の性欲処理だろうがこうやって恥ずかしげもなく甘い言葉をかけてくれて、体を重ねる時も優しく抱いてくれる、まるで壊れ物を扱うかのように。

だけど団長の心は一生私に向く事はないだろう。だって団長は巨人、いや、私の想像を越えたものに向いているのだから。



団長の部屋から出る際にも、甘いキスを落とされうっとりしてしまった。
部屋に戻って自分のベッドに横になると、ベッドの冷たさに寂しくなる。


『団長はなぜ私を抱くのですか』、と一度だけ聞いた事がある。そしたら団長は私の耳元で「ナマエが誘っているからだよ」と答えた。そのまま耳たぶを甘噛みされ、恥ずかしくなってそれ以来聞いていない。


団長は見えないところにキスマークをすごいつける。まるで私が団長の所有物だと言わんばかりに。だけど、私はそれが嬉しかった。
恋人になれなくたっていい。こうやって団長のお側にいれて、抱かれて、所有物の証をいただけるなら。


所有物の証
(私はあなたのモノです)

end.




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