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兵長の執務室をノックする。いつもなら「入れ」とだけ返事があるのに今日はない。
兵長いないのかな。でも今日は兵長一日執務室で書類と戦うって言ってたらいるはずなんだけど。


おそるおそる執務室の扉をあけると、兵長の姿が…いた。
ソファに横になって、寝ているようだ。
そう言えば昨晩は夜通しで馬を走らせていたらしく、お疲れのはずだ。
兵長が、寝ている姿をはじめてみた。なにか悪いことをしているような気分になってきた。だけど、滅多に見れるもんじゃないから、ちょっとだけ許して貰おう。

兵長の整ったお顔は寝ていてもきれいで羨ましくなるぐらいだ。


この人は本当に人類最強の兵士なんだよなあ。
少し小柄だけど、巨人を倒している姿はとても大きくて、不器用ながらにも、優しい言葉をかけてくれて、いつの日からか、兵長が好きになってしまった。
恋なのか憧れなのかと聞かれたら正直よくわからないんだけど、兵長が好きだ。



私の悪い心がはたらいた。
寝ている兵長のおでこに唇を触れさした。

そしてバレたら削がれるだろうから、このまま去ろうと思い、扉の方をむいた



「…ナマエ、」

びくっとした。
まぎれもなく兵長のお声で、どうしようバレたのかな。だったら巨人のように削がれてしまう。もしくはもう口を聞いてくれなくなってしまう。
自分の悪い心を憎んだ。


「何か、用か」


少し眠たそうな声だ。

『お休みのところ申し訳ありません。エルヴィン団長より急ぎの書類を預かっております。兵長のサインが必要との事です』

「わかった」

兵長はたいして書類を読みもせずにサインをした。


『勝手にお部屋に入ってしまい申し訳ありません』

「構わねぇよ。」

『では、これで失礼いたします。』

「ナマエ、あとで紅茶もってこい」

『了解致しました。』


執務室をでる際そう言われた。キスしたのはバレてなさそうで、安心した。


触れた唇

「…どうやって話を切り出す、か」

そう呟くとナマエに触れられたおでこを指先で触る。そしてその指先を自分の唇に触れさした。


end.

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