『へいちょおおおおお!』
こいつにねぇはずの尻尾がみえる。それも取れるんじゃないかってぐらいに振られた尻尾だ。
お前は犬なのかと言いたくなるぐらいにナマエはうるせぇ。
『兵長おはようございます!!』
無視を決めるとそれでも何度も何度も無駄に高いテンションで繰り返す。
一回言えば分かるから少し黙れ。
「…黙れ」
そう返事をするナマエはうれしそうに尻尾を振っている。いや尻尾はないんだがな。
『へーちょー!へーちょー!へーちょー!!』
『へーちょー無視ですか!!!無視なんですかーー!!!!』
「黙れ」
『返事してくれたひゃっほおおおう!!』
「削ぐぞ」
『むしろお願いしまーす!!!』
同意の上ならやっても構わねえな。
でもナマエはそこそこできる。削いだら俺がエルヴィンに怒られる。
ただでさえ人がいねぇってのに。
『へーちょー!そんなに冷たいと!後悔しますよ!よ!よ!』
「別に後悔するようなことではないだろ」
『じゃあ!あげません!幻の貴重な紅茶の!茶!葉!を!!!』
そう言ってナマエは走り出した。紅茶となれば追いかけるに決まってる。
犬みたいだが、だからといって足がすごくはやいわけでもないしな。
犬、なんだかんだ可愛がられている
ペットを可愛がるのも悪くねぇ。
end.