junk



「何作ってんの」
『んー?てるてる坊主作ってるんだよ』
「…てるてる?」
『そう、てるてる…って、あ!雲雀君ってば、てるてる坊主知らないんだね?』
「………」
『ぷぷーっ!あの天下の風紀委員長の雲雀君が、てるてる坊主を知らないんだぁー。ぷくくっ』
「…咬み殺す」
『うわ、ちょっと!せっかく作った、てるてる坊主を捨てないでよ!この鬼畜委員長!』


ジャキンッ…


『あはははー…てるてる坊主なんて知らなくて当然ですよねー。あはははー』
「………」
『あははは…』
「………」
『あはは、は…』

「…で?」
『え?』

「テルテルボウズって何」

『え、あ…うん。えっとね、てるてる坊主は…』
「うん」
『てるてる坊主は…』
「…」

『てるてる坊主は、てるてる坊主かな?』

「………」
『………』

「意味分かんない。咬み殺す」

『ええっ!?ちょ、タンマ!タンマ!』
「………」
『て、てるてる坊主っていうのはー…』
「………」
『…ええい!面倒くさい!こうなったら作るっ!!』
「要は自分でも説明出来ないんだね」
『おだまり!実践が一番分かりやすいのー!』
「実戦?戦うの?」
『違う!変な所に反応しないで』
「………」

『んじゃ、てるてる坊主作ってみよー!』


 ◇


『よーっし、出来た!雲雀君も出来た?』
「…一応。君の説明の下手さには正直驚いたけどね」
『じゃー、最後にペンで顔を描いてあげて』
「スルーしないでくれる?」
『さて、どんな顔描こうかなー』
「………」


 ◇


『ここをこうして…っと。はい、てるてる坊主の完成ー!』
「ちょっと、勝手に応接室の窓にくっ付けるの止めてよ」
『良いじゃん別に。なんか可愛いし』
「良くないよ」

『ねぇ、雲雀君。』
「…なに」
『明日、晴れるかなぁ』
「さぁね。晴れるんじゃない?」
『そっかぁ。そうだよね』
「………」

『それにしても、』
「?」
『私、雲雀君の美的センス疑っちゃうよ』
「は…、」
『だって、雲雀君のてるてる坊主の顔、顔っていうかミミズっぽいよ。少なくとも人の顔じゃな…』
「…咬み殺す…!」


窓際に吊るされた二つの妖精。
それはまるで、とある二人の男女のように優しく寄り添い合っていた。

そんな、6月の出来事だった。






てるてる坊主の話
2011.6

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -