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『ねー、雲雀君』
「…何」
『雲雀君は桜嫌いなの?』
「嫌い。見るだけでも不快に思うよ」
『もったいないなぁ…桜ってとても綺麗で、しかも雲雀君によく似合ってるのに』
「それ、あまり嬉しくないな」
『どうして?』
「男は花が似合うなんて言われても嬉しくないんだよ」
『そういうものなんだ』
「そうだよ」
『ふーん…』
「………」
『………』
「………」
『………』

「ねぇ、君」
『ん、なに?』
「僕は今、桜が嫌いだ」
『…さっき聞いたけど』
「でもそれは今この時点の話であって、今じゃない時なら分からない」
『うん。そうだね』
「現に僕は、少し前までは桜は嫌いじゃなかった」
『あ、そうなの』
「そうだよ」
『へえ…』
「だからさ、」
『うん』

「僕の桜の記憶を、君が塗り替えてよ」

『…は!?』
「簡単でしょ?」
『か、簡単な訳ないじゃん!っていうか、どういう意味…』
「こういう意味だよ」
『ん…ぅ…!?』


 ◇


『い、今のって…き、きききっ、き…す…!?』
「クス…君、顔真っ赤だよ」
『は、恥ずかしいの!…っていうか、雲雀君絶対キスに慣れてるでしょ!ムカつくぐらい上手い…』
「…何言ってんの。僕はこの前のを合わせて2回しかした事ない」
『え、うそ!?』
「嘘なわけないでしょ。僕は君以外となんかしたくない」
『………』
「何照れてるの」
『…ひ、雲雀君が、恥ずかしげもなくそんな事言うから…』
「………」
『………』
「…あ」
『?…どうしたの?』
「頭。桜の花びら付いてる」
『本当に?じゃ、花びら取ってよ』
「嫌だ」
『ええっ!?どうして?』
「君が桜だったら、僕もすぐに桜を好きになれると思って」
『な…!ひ、雲雀君のバカっ!!』


桜の木の下、2人は仲良さげにじゃれ合っていた。
暖かい春の風が吹き抜ける。

そんな、4月の出来事だった。





桜の話
2011.4

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