黒曜編
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「兄さん、なんて無茶するんだよ」

兄さんが何者かに襲われ入院した。携帯に入った兄さんからのメールに慌てて病院へ行くと、何て事はない。ただ歯を抜かれた(しかも既に修業で無くなっていた歯)だった。

ナッちゃんがいる手前、詳しい話を聞いてはいけない気がして、俺は呆れた様に会話する。

「いやぁ、筋力トレーニングだと銭湯の煙突に登ったらうっかり滑ってしまってな」

余りの無茶な設定を言い出した兄さんに、いや、いくら天然キャラでも信じるの難しいよ!とツッコミたい気持ちを抑えてやむなく信じたフリをした。

「とりあえず無事で良かった」

そんな俺に、ナッちゃんは驚いた気配を発していた。うん。流石に無理があるのは分かってるけど、兄さん的に俺はまだ関わるなって判断何だろう。だから仕方ない。


「それで、兄さんがやられる程の相手って、やっぱり六道骸?」

マフィア関連だろうと当たり障り付けていた、こっちは一応一般人だから、情報はマフィア界のコンピューターにハッキングをして仕入れた。

「ああ、倒してみても良かったが、目的が分からない以上、手の内は見せられん」

流石にそこらへんのマフィアにはやられないと苦笑する兄さん。ちゃんと考えていた事に安心した。

最近ナッちゃんの周りは世話しない。裏で暗躍する身としてはあの家庭教師を勤めるアルコバレーノが厄介だった。
こちらはナッちゃんの護衛が使命なのに、それをわざわざ危険に巻き込むのだから落ち着かない。

「それなんだけど…アルコバレーノの注意が今その六道に行ってる。それはつまり目的はナッちゃんだからじゃないかと思うんだ」

相手はマフィアを潰している六道骸だ。そんな奴がこの並盛に出てくるなんてボンゴレか、トマゾのどちらかとしか考えられない。
でも本部の割れてるトマゾじゃなく、並中を襲うって事はつまり最近次期ボンゴレ候補になったナッちゃんを狙ってるとしか考えられなかった。

「うむ。その憶測は間違ってはないだろうな。奴は何かを捜しているようだったし」

兄さんはその時の敵の様子を思い出しながら頷いた。

「困るなぁ。よりによってナッちゃん巻き込まないで欲しいよ」

嫁入り前の女の子に怪我ばっかり作るのはどうしても納得出来なかった。

「そうだな。一応この事は奈々さんに報告しておくべきだな」
「…ああ。それにしても、あの人自分で家庭教師雇ったのにナッちゃんに怪我させると俺達に説教だから参るよ」




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